アプリケーション戦略の現状 2021:アプリケーションセキュリティとデリバリの現在と未来を読み解く*

F5エコシステム | 2021年4月28日

*以前は「アプリケーションサービス」と呼ばれていたテクノロジー

この1年で、F5にいくつかの変化があったことにお気づきかもしれません。まず、現在の社名はF5です。F5 Networksではなく、F5です。実のところ、F5はこれまで一度もネットワークを中心に据えてきたわけではありません。ネットワークは、アーキテクチャ上合理的な導入モデルだったにすぎません。F5が重視してきたのは、そして今も重視しているのは、アプリケーションの高速化、拡張、セキュリティ確保です。そこで次の変化として、「F5が提供するもの」の表現を、アプリケーションサービスからアプリケーションのセキュリティおよびデリバリーテクノロジーへと変更します。

率直に言えば、最近ではアプリケーションセキュリティ、分散、デリバリーへと領域を拡大しています。これは、F5によるVolterraの買収によるものです。

とはいえ、変化を一つずつ見ていきましょう。今回は、アプリケーションサービスからアプリケーションセキュリティおよびデリバリーテクノロジーへの明確な移行に焦点を当てます。

アプリケーションサービス

かつて、アプリケーションデリバリは、スケーラビリティの課題解決に重点を置いていました。その後、最適化、セキュリティへと対象が広がりました。アプリケーションデリバリコントローラー業界は、スケーラビリティ、速度、セキュリティという3つの課題すべてに、コスト効率とアーキテクチャ効率に優れた方法で対処する必要性から、F5で誕生しました。ADCが提供する負荷分散やWebアプリケーションファイアウォールなどのアプリケーションサービスは、アプリケーションの配信と保護という課題に対応しながら、スケーラビリティと速度の両方に対処しました。

これらのテクノロジーでは、各サービスの機能や特性に重点が置かれていました。帯域幅をどれだけ節約できるか。応答時間をどれだけ短縮できるか。攻撃をどれだけ阻止できるか。

図1

これらは今なお重要な特性です。F5の年次調査の回答者の4分の3以上(79%)が、卓越した顧客体験を提供するうえで、アプリケーションセキュリティおよびデリバリーテクノロジーが重要であると回答しています。これらのテクノロジーを定義するうえで、その機能も依然として重要な要素です。

アプリケーションセキュリティおよびデリバリーテクノロジー

しかし、デジタルトランスフォーメーションによってビジネスは変化しています。物理的な世界からデジタルへの移行に伴い、ビジネスのあらゆる領域でテクノロジーへの依存が高まっています。かつて企業は、人数を数えて来店者数を手作業で把握していました。また、物品を管理するデータベースからレポートを出力し、在庫を把握していました。

現在、こうしたプロセスは統合され、デジタルチャネルを介して行われるケースが増えています。モバイルアプリケーションやWebサイトは、もはや付加的なものではなく、標準的に利用されています。「来店客数」の把握も今やデジタル領域の課題であり、消費者が商品を閲覧・購入できるアプリケーションやWebサイトを配信するテクノロジーが大きな役割を担っています。

図2

デジタルが前提となる世界で事業を展開するには、アプリケーションを保護し、配信するテクノロジーも、デジタル化が進むビジネスのニーズに応じて進化しなければなりません。そのためには、単に機能を実行するだけでは不十分です。これらのテクノロジーは、機能が実行される際のインタラクションに関する情報も生成する必要があります。また、消費者とアプリケーションのエンドツーエンドのインタラクションを示すテレメトリデータを生成し、デジタル上の行動や購買パターンに関するインサイトを明らかにする必要があります。

この動きは現在、勢いを増しています。すでに4分の1近く(22%)の組織が、アプリケーションのセキュリティおよびデリバリー技術を選定する際に、テレメトリを生成する機能を重要な要素と考えています。

未来を見据えて

私がまとめた小さな図には、未来に焦点を当てた空欄がまだ1つ残っています。データの次に来るのは、そこから得られたインサイトに基づいて行動する能力です。アプリケーションセキュリティおよびデリバリーテクノロジーの未来は、望ましいビジネス成果を実現するために、インサイトと行動の間で、いわば「ループを閉じる」能力にかかっています。

たとえば、インサイトから、ワークフローの決済処理部分のパフォーマンス低下により、1日あたり数千ドルの収益機会が失われていることがわかります。これは有用ですが、データによってパフォーマンス低下の原因まで把握できるのであれば、それを是正できるはずではないでしょうか。

あるいは、モバイルアプリケーションが使用する一連のAPIに需要が殺到し、それを支えるバックエンドシステムが過負荷に陥る可能性が高いと、インサイトから分かる場合もあります。避けられないクラッシュやパフォーマンス低下を防ぐために、該当するサービスを自動的にスケールアウトできるべきではないでしょうか。

図3

半数以上(52%)が、今後2~5年の間にAIOpsが自組織に戦略的な影響を与えると回答しており、こうした意向と期待がうかがえます。パフォーマンスを維持し、セキュリティを確保するために調整を自動化できることは、デジタルエクスペリエンスにとって極めて重要です。AIOpsは、将来的にこれらの機能を提供するAIベースのテクノロジーの1つです。

これらの機能は、調整内容に応じて動作できるアプリケーションセキュリティおよびデリバリーテクノロジーと必然的に結び付いています。その後、同じテクノロジーがテレメトリという形でフィードバックを提供し、分析によって調整内容をさらに微調整できるようにします。これは、履歴データとリアルタイムデータを踏まえた分析に基づき、継続的に調整を行うクローズドループです。

このようなクローズドループシステムによって実現されるものをF5では「Adaptive Applications」と呼んでいます。

アプリケーションのセキュリティおよびデリバリーテクノロジーの未来を形作るのは、デジタルトランスフォーメーションと、ビジネス成果に好影響をもたらすためにデータを収集、分析し、活用する必要性です。ビジネスの未来はデジタルにあり、アプリケーションと、そのデリバリーおよびセキュリティを担うテクノロジーがビジネスの中核となります。

まだご覧になっていない方は、ぜひ「State of Application Strategy 2021」を入手してください。さらに多くの知見や情報をご確認いただけます。

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タグ: 2021

著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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