エッジネイティブアプリケーションにおけるクラウドの役割

F5エコシステム | 2021年6月14日


クラウドの登場によってクラウドネイティブアプリケーションが生まれたのと同様に、エッジが一連のエッジネイティブアプリケーションを生み出しているのも当然の流れです。

しかし、これらのアプリケーションはエッジだけに配置されるわけではありません。むしろ、それに伴うIT(情報技術)とOT(運用技術)の融合により、クラウドやデータセンターに配置されたアプリケーションも活用する新たなアーキテクチャパターンが生まれています。

現在、組織がアプリケーションセキュリティおよびデリバリーテクノロジーをどこに導入しているかを見ると、その先行指標がすでに現れていることがわかります。これらのテクノロジーを1か所だけで運用している組織は半数未満(41%)です。平均は2か所をわずかに上回り、正確には2.11か所です。現在、最も一般的な組み合わせはクラウドとオンプレミスですが、すでに10組織に1組織が、データセンター、クラウド、エッジの3か所すべてを活用しています。

エッジが価値を上乗せ

これは、一般家庭に平均10台あるコネクテッドデバイスをサポートするために構築されたアーキテクチャに、特に当てはまります。実際、広く利用されているエッジアプリケーションを見ると、クラウドとエッジ、ノードとエンドポイントが組み合わされていることがわかります。

エンドポイントノード

エッジノードとエッジエンドポイントは、それぞれ固有の特性に基づいて区別します。各ロケーションには固有の機能と制約があるため、この区別により、「エッジネイティブアプリケーション」を構成する特定の機能について、責任範囲を明確にできます。たとえば、一般にエッジエンドポイントは、大量のデータの保存には対応していません。エッジノードは対応できる場合があり、データセンター/クラウドは確実に対応できます。こうした機能と制約を踏まえ、各ロケーションの強みを活用してプロバイダーと利用者の双方にメリットをもたらすように、エッジネイティブアプリケーションが形作られます。

これが、クラウドとデータセンターがエッジネイティブアプリケーションで重要な役割を果たす根本的な理由です。

例として、私のPlexメディアサーバーを考えてみましょう。自宅にはローカルサーバー(エッジノード)があり、スマートテレビにはアプリ(エッジエンドポイント)がインストールされています。エッジノードは、請求とアカウント管理、リモートアクセス、ソフトウェア更新のために、クラウドベースのPlexサービスと通信します。また、両者の間では、アプリケーション全体の改善に役立てるため、使用状況やパフォーマンスに関するその他の通信やデータ交換も行われます。

Plexの例

課金機能やアカウント管理機能をエッジエンドポイントに置くのはもちろん、エッジノードに置くことにもまったく合理性がありません。同様に、Plexサービスにローカルのデジタルコンテンツリポジトリへのアクセスを許可するのは、効率的ではなく、安全性の面でも望ましくありません。その役割は、エッジノード上で稼働するローカルメディアサーバーが担います。

多くの点で、このパターンは、従来型の(レガシー、旧式、レトロ、成熟済みなど、「自分が生まれる前」を表す婉曲表現は何でも構いません)アプリケーションに最新のインターフェースを提供するモダナイゼーションの取り組みから生まれるパターンと変わりません。たとえば、今世紀初頭には、テキストベースのシステムをスクリーンスクレイピングしてWeb経由でアクセスできるようにしていました。また、従来型のトランザクションシステムを基盤とするモバイルバンキングを実現するために、APIも利用されています。モダナイゼーションの取り組みでは、データセンター、クラウド、エッジの境界をまたいで、各システムやアプリケーションに役割を割り当てるアプリケーションパターンがよく生まれます。

このような判断は、コネクテッドデバイスやセンサーをはじめとするエッジアプリケーションについて、日々行われています。こうした判断から、エッジネイティブアプリケーションに共通するパターンが生まれます。

そのほぼすべてに、クラウドまたはデータセンターに配置される機能が含まれています。

クラウドコンピューティングの登場時には、データセンターは時代遅れになるとの声が相次ぎました。しかし、エッジが台頭する今、クラウドについて同じことが語られる可能性は低いでしょう。むしろ、クラウドとデータセンターは今後も、エッジネイティブアプリケーションに不可欠な役割を果たし続けます。

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著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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