SOAS 2025:足並みの乱れが凡庸さを招く

F5エコシステム | 2025年5月13日

モダナイゼーションを急ぐあまり、多くの組織が、時代遅れのプロセスに今も意味があるのかを問い直さないまま、その最適化にAIを導入しています。これは、メールを使えば済むところを、ファクスの自動化に取り組んでいるような典型例です。

2025年が進む中、より高速でセキュアかつ効率的なアプリケーションの提供を求める圧力が高まっています。しかし、複雑さ、従来の慣行、方針の不一致が、AIの可能性を最大限に引き出す妨げとなり続けています。競争力を維持するには、セキュリティ、自動化、デプロイメントにわたる戦略を整合させる必要があります。こうした整合性がなければ、停滞のリスクは高まります。

これは、世界各地のテクノロジー分野の意思決定者659人から得た回答を分析する中で浮かび上がったテーマです。AI、オートメーション、アプリケーションのデリバリーとセキュリティに加え、組織の前進を妨げている懸念、不満、障壁について尋ねました。

この結果は驚くべきものではありません。AIのような革新的なテクノロジーに接したとき、まず既存環境の改善に活用しようとするのは自然な反応だからです。

だからこそ、このような破壊的テクノロジーを、運用からセキュリティ、アプリケーションデリバリからマイクロサービスに至るまで、既存の環境を見直す機会と捉えることが重要です。そして、たとえ大幅に高速化できるとしても、現在の方法をそのまま続けることが本当に最善なのかを問い直す必要があります。

では、そうした「こと」のいくつかを手短に見ていきましょう。

セキュリティの重点:マイクロサービスよりAIを優先

セキュリティ対策は話題の技術に偏りがちです。今最も注目を集めているAIに関心が集中するのも自然な流れでしょう。しかし、アーキテクチャの見過ごされている部分も、同等かそれ以上に脆弱な可能性があります。

データから得られる知見:AI環境は機密データを直接扱うため、最高レベルのセキュリティ対策が講じられることが多い一方、最新のアプリに不可欠なマイクロサービスは見過ごされています。

示唆:AIの保護は極めて重要ですが、マイクロサービスの保護が不十分なままでは、侵害を招くおそれがあります。これらのサービスは、ユーザー認証、データ交換、コアロジックを担うことが多く、ここに脆弱な部分があると、エコシステム全体が脅かされる可能性があります。

自動化を目指す中で続く手作業

AIと自動化があらゆるものを変革すると期待される一方で、いまだに多くのチームが手作業に頼っています。自動運転車を夢見ながら、まずは押しがけしなければならないと言い張るようなものです。

データから得られる知見:AIにはトラフィック最適化などのタスクを自動化できる可能性があるものの、約29%のチームはいまだにスクリプト作成に追われ、56%はプロセスの開始を人手に頼っています。

影響: レガシーな手法と手作業による介入がパイプラインを滞らせます。インフラストラクチャが時間を要し、ミスの起こりやすい手作業に依存している限り、どれほど高度なAIでも成果を上げることはできません。

導入の遅延:時代遅れのプロセスから抜け出せない

「あらゆるものの継続化」がもてはやされる一方で、いまだに複数回の手動承認やチケット発行を必要とするプロセスを使用しているチームが多いのは皮肉なことです。こうしたプロセスは、デプロイを遅らせるだけでなく、チームの士気も低下させます。

データから得られた知見:人手による運用や煩雑なチケット管理システムへの依存といった従来のデプロイ手法は、大幅な遅延を引き起こします。23%が、チケット管理システムとの統合を自動化の主な障壁として挙げています。

示唆:最新のCI/CDパイプラインはスピードを重視して構築されていますが、旧来のプロセスによって著しく低速化します。継続的デリバリーを推進しながら、依然として手動承認に依存しているのであれば、アジャイルなデプロイの本来の目的を見失っています。

複雑さ:アプリケーションデリバリーの自動化を阻む見えない障壁

進捗が遅いと、セキュリティ上の不備や古いデータベースなど、何か1つの大きな問題が原因だと考えがちです。しかし実際には、無数の小さな複雑性が積み重なり、自動化の取り組みを停滞させることがあります。

データから得られた知見:API、タスク、言語、タイムゾーンをまたぐアプリケーションデリバリの自動化には、広範かつ一様に課題が存在しており、システム全体に複雑さがあることが明らかになっています。

示唆:複数の階層やサービスにまたがる分断により、手作業とリスクが幾重にも増大します。APIの合理化、重複作業の削減、テクノロジーの統合によって複雑さを大幅に軽減し、自動化がもたらす真のメリットを引き出すことができます。

まとめ

真の敵は、セキュリティの不整合、時代遅れの手作業、旧来の導入方法の踏襲といった「ずれ」です。AIは従来のプロセスを最適化できますが、根本的なずれを単独で解消することはできません。前進するには、新しいツールを導入するだけでなく、基盤となるワークフローが今も適切かどうかを問い直す必要があります。明確な戦略のもとでモダナイゼーションを進めなければ、過去の問題を自動化することになりかねません。

こちらのリンクから今年の調査内容をさらに詳しくご覧いただけます。また、完全版の「State of Application Strategy 2025レポート」もダウンロードできます。

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著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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