WebAssemblyが重要な理由

F5エコシステム | 2024年10月02日

私たちを取り巻くテクノロジーは急速に変化しています。WebAssembly(略称Wasm)が開発者やテクノロジー愛好家の間で注目を集めていると、耳にしたことがあるかもしれません。では、WebAssemblyとは一体何で、なぜ注目すべきなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

WebAssemblyとは?

WebAssemblyは、基本的にはバイナリ命令セットです。x86やARMなどのアセンブリ言語に似ていますが、新たな特性とセキュリティ保証を備えています。CやRustなどのプログラミング言語で記述したコードをコンパイルし、WebAssemblyアーティファクトを生成できます。Wasmは当初Web向けに開発されたため、Web上で高性能なアプリケーションをネイティブに近い速度で実行できることが大きな魅力でした。現在では、ブラウザ以外でもWebAssemblyの採用が広がっています。

Wasmが他のコンパイルターゲットと異なる点の1つは、その移植性です。基盤となるアーキテクチャにかかわらず、対応するランタイムがあれば、WebAssemblyコードはどのプラットフォームでも実行できます。つまり、開発者はコードを一度書けば、Windows、macOS、Linux、モバイルOS、ブラウザー、さらには電球でも、あらゆる環境で実行できると期待できます。

WebAssemblyはセキュアですか?

現代のデジタル社会では、セキュリティが何よりも重要です。そのため、WebAssemblyはセキュリティを設計上の中核目標として開発されました。ここで、Webブラウザの動作について少し考えてみましょう。Webページにアクセスすると、ブラウザは正体の分からない信頼できないコードをダウンロードし、実行します。よく考えると、実に恐ろしいことです。悪意のあるコードからユーザーとそのデバイスを保護するのはブラウザの役割であり、WebAssemblyにもまさにこの考え方が次の仕組みとして組み込まれています。

  1. サンドボックス化: WebAssemblyコードをホスト環境から分離し、許可されていないデータへのアクセスや、コードの実行環境に関する情報の特定を防ぎます。
  2. デフォルト拒否のアクセス制御:WebAssemblyには非常に厳格なデフォルト拒否のセキュリティポリシーがあり、明示的な許可がない限りシステムリソースにアクセスできません。これはシステム時刻のような基本的なリソースにも適用され、Wasmコードと明示的に共有しない限り、まったく利用できません。
  3. メモリ境界:実行中の各WebAssemblyインスタンスには、それぞれ参照可能な範囲が限定された専用のメモリ領域が割り当てられ、他のWebAssemblyインスタンスやホストメモリから完全に分離されます。

WebAssemblyは高速ですか?

WebAssemblyは、高速に動作するよう設計されています。JavaScriptと比較すると、Wasmコードは、JavaScriptコードの解析が始まる前にデコードされ、実行を開始できます。ブラウザーで新たな体験を実現するだけでなく、移植性とセキュリティ保証により、ブラウザー外でもネイティブに近いパフォーマンスを提供します。

なぜ注目すべきなのか?

JavaScriptを置き換えることが目的ではありません。両者は補完関係にある技術であり、競合するのではなく、連携して機能するように設計されています。Webアプリの動的でインタラクティブな部分には引き続きJavaScriptが必要ですが、計算負荷の高いタスクではWasmの活用が進んでいます。

WebAssemblyコードはランタイム内で実行されるため、Webアプリケーションはもちろん、エッジやサーバーで稼働するアプリケーションにも簡単に組み込めます。これにより、ほぼあらゆる言語で記述されたコードや、信頼されていないサードパーティ製コードを使用してアプリケーションを拡張できます。また、コミュニティメンバーやお客さまが提供するコードをアプリケーション内で安全に実行できるため、WebAssemblyはプラグインシステムに適しています。これらはすべて、WebAssemblyの優れたセキュリティモデルによって実現します。

WebAssemblyは効率的

WebAssemblyは、サーバーレスコンピューティングの分野で大きな注目を集めています。コンテナと比べてWasmモジュールは非常に小さく、生成されるモジュールの大半は数KBから1桁台のMB程度です。一方、コンテナは数百MBから数GBに達することも珍しくありません。Wasmは、ストレージ容量を抑えられるだけでなく、よく知られた「コールドスタート」の問題も解決します。Wasmコードは数µsで実行を開始できるため、リクエストにすばやく応答する目的でコードを常時実行しておく必要がありません。リクエストの受信時にWasmインスタンスを起動しても、レイテンシーへの影響はごくわずかです。つまり、WebAssemblyベースのシステムは、トラフィックがないときにはゼロまでスケールダウンできます。環境にもコストにも優しい仕組みです。

WebAssemblyは構成可能

私が真のゲームチェンジャーだと考えているのは、WebAssembly Component Modelです。以下の特長により、開発者がソフトウェアを構築し、組み合わせる方法を根本から変えるでしょう。

  1. エコシステムを横断したアクセス:Goの暗号化ライブラリ、RustのJSONシリアライザー、Pythonの数値計算ユーティリティを使いたい場合も、問題ありません。Component Modelを使用すれば、ほぼあらゆる言語エコシステムからソフトウェアを選び、すべて同じ言語で記述されたネイティブライブラリのように組み合わせることができます。
  2. 開発の柔軟性:組織内の各チームは、用途に最適なツールを選択できます。各チームの成果物をアプリケーション全体にシームレスに統合できるため、専門知識やプロジェクト要件に適したプログラミング言語とソフトウェアスタックを選択できます。

簡単に言えば、開発者はWebAssemblyコードを生成できる任意の言語でソフトウェアコンポーネントを構築し、それらを容易に組み合わせて1つのアプリケーションを作成できます。

WebAssemblyは、注目に値するテクノロジーです。アプリケーションに新たな機能を追加したい開発者にも、拡張性とコスト効率に優れたソリューションの構築を目指す企業にも、Wasmは適している可能性があります。成熟が進み、サポートが広がるにつれて、WebAssemblyはソフトウェア開発に対する考え方や関わり方を一変させる存在になろうとしています。WebAssemblyは単なる未来のテクノロジーではありません。すでに実用化され、これまでのソフトウェアのあり方を変えつつあるため、今後も注目してください。

WebAssemblyについて詳しく知りたい方は、F5のポッドキャスト「WebAssembly Unleashed」をYouTube、Spotify、またはApple Podcastでお聴きください。

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