サイバーセキュリティ意識向上月間:Angel Grant氏に聞く、ジェンダー平等についての率直なQ&A

F5エコシステム | 2023年10月04日

10月でCybersecurity Awareness Monthは20周年を迎えます。この年次啓発月間には、「サイバーセキュリティに精通する」ために役立つ情報を目にする機会が多いでしょう。しかし、Cybersecurity Awareness Monthが扱うのは、最新の脅威から身を守る方法だけではありません。将来を守ることも重要であり、その第一歩は、憂慮すべき現実であるサイバーセキュリティ分野のジェンダーギャップを認識することです。

サイバーセキュリティ分野におけるジェンダーダイバーシティの推進を目的としたF5ブログシリーズ「ジェンダー平等への道」の第5回では、Angel Grant(F5 Distributed Cloud Servicesセキュリティ担当バイスプレジデント)とのQ&Aをご紹介します。Angelの考察から、障壁を打ち破り、すべての人にとってよりセキュアなデジタルの未来への道を切り開くためのヒントが見えてきます。

Angelは、サイバーセキュリティ、eコマース、金融サービス業界で20年以上の経験を有しています。FS-ISACおよびPCI Council Board of Advisors、Federal Reserve Secure Payments Task Force、NachaのPayments Innovation、Risk、Regulatory、Securityの各Advisory Committeeで委員を務め、多くの業界イニシアチブや標準に影響を与えてきました。デジタル世界をより安全な場所にするためのサイバーセキュリティソリューションの開発や普及に取り組んでいないときは、屋外で過ごしたり、子どもたちの活動を通じて人生を追体験したりしています。

キャリアは目的地ではなく、旅として捉えるべきです

Rachael:20年にわたりサイバーセキュリティの分野に携わってこられました。現在のキャリアに至るまでの経緯を教えてください。

Angel: サイバーセキュリティは、もともと目指していたキャリアではありませんでした。キャリアのスタートは複数の金融機関で、さまざまな職務を経験しました。その後、スタートアップに移り、業界初期のオンライン決済アプリの1つでプロダクトマネージャーを務めました。当時は金融機関を訪ね、オンラインバンキングとオンライン決済という画期的な新技術について説明していました。ほとんどの人から「そんなのは無謀だ。オンラインで銀行を利用する人などいない」と言われたものです。実際にはオンライン決済が急速に普及しましたが、それと同時にサイバー犯罪も増加しました。そこで、決済アプリにさまざまなセキュリティソリューションを組み込むようになり、その1つがRSA Securityでした。RSAから入社の話を持ちかけられたとき、ずっとこう思っていました。なぜ私を採用したいのだろう? 私は、黒いパーカーを着て暗い部屋にこもり、「今年こそPKI元年だ!」と説いて回るような「暗号の専門家」ではないのに。

しかし、採用担当マネージャーから、サイバーセキュリティ業界に最も欠けているものの1つは、セキュリティの観点から解決すべき現実のビジネス課題を理解している人材だと説明され、自分の見方がまったく間違っていたことに気づきました。本当に守るべきものは何かを理解していたからこそ、今の自分があります。そして、その理解は今も私の指針であり続けています。

Rachael:金融業界と同様に、サイバーセキュリティ業界も男性中心の世界だと見られてきました。別の男性中心の業界に移ってみて、いかがでしたか?

Angel: 私は幸運にも、性別を問わず素晴らしいメンターや支援者に恵まれてきました。皆さんは私を後押しし、私自身より先に見いだしてくれた可能性を実現できるよう、異なる視点で考えることを促してくれました。そのことに感謝しています。

しかし今でも、会議や業界団体の集まり、数多く登壇するカンファレンスのパネルディスカッションで、女性が私一人だけということがよくあります。キャリアを通じて、ほかにもさまざまな困難に直面してきました。あるとき、サイバーセキュリティカンファレンスで講演するために会場を訪れ、展示ホールのピッキング体験コーナーに立ち寄りました。隣に座った男性は私の名札を見ると、こう言いました。「本当はサイバーセキュリティ企業で働いているわけではないんでしょう?展示ホールを歩き回るために、そのベンダーがカンファレンス要員としてあなたを雇ったんですか?」私はあまりに驚き、どう答えればよいのか分かりませんでした。そこで、感情的に言い返したり、サイバーセキュリティ分野にも女性がいると反論したりする代わりに話題を変え、休憩後はどの講演を聴く予定なのか尋ねました。皮肉にも、それは私の講演でした。おかげで、彼の最初の質問にうまく答えることができました。「それはよかったです。私のセッションでお会いできるのを楽しみにしています」

その経験以来、誰かの発言や行動に問題があると感じたときは、正面から指摘するようにしています。多くの場合、本人は自分の言動が偏見に基づく影響を及ぼしていることに気づいていない可能性があるからです。

Angelは息子たちに、誰に対しても分け隔てなく、思いやりを持って支え合うことを教えてきました。私たちは皆、共に歩む仲間です

Rachael:物事に正面から向き合うという話が出たところで、ぜひ伺いたいのですが、なぜF5を選んだのですか?働く場所を選ぶにあたっては、きっと引く手あまただったと思います。

Angel:F5を選んだのは、その企業文化とミッションに共感したからです。私たちのあらゆる取り組みは、デジタル体験を保護し、お客さまからの信頼を高め、ビジネス価値の向上につなげることを目指しています。

友人に勧められて採用面接を受けるまでは、F5は就職先の候補に入っていませんでした。当時は、F5はロードバランシングだけを手がける会社だという昔ながらの印象を持っていました。しかし、それは大きな誤解でした。面接を通じて、F5が25年以上にわたり業界を切り拓き、現在も組織のアプリとAPIのセキュリティ、可用性、パフォーマンスの確保を支援し続けていることに、非常に感銘を受けました。さらに、地域社会、STEM教育、Tech for GoodへのF5の積極的な投資と、ダイバーシティへの真摯な取り組みも、ひときわ印象的でした。

Rachael:McKinseyとLeanIn.Orgによる最新の「Women in the Workplaceレポート」では、リーダー職における女性の割合が依然として著しく低いことが浮き彫りになっています。サイバーセキュリティ分野でリーダーを目指す、十分に代表されていない人々に向けて、何かアドバイスはありますか?

Angel: 経験を得るには、実際に経験を積むしかありません。まずは自分自身のプレイブックを作り、従来の社会通念に基づく既存のプレイブックを基準に自分を評価するのはやめましょう。地域のキャリアに関する業界団体に参加するなど、自分に合ったプレイブックを手軽に作り始め、サイバーセキュリティの知識を深める方法は数多くあります。また、サイバーセキュリティブログ ベスト100を読んだり、無料のサイバーセキュリティコースを探したりして、知識を深めることもできます。そして、人生の各段階で優先事項や幸せのあり方が変わったときは、プレイブックを書き換えることを恐れないでください。

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Rachael:サイバーセキュリティのプロフェッショナルこそ自分の進むべき道だと確信した「ひらめきの瞬間」はありましたか?

Angel:息子のカブスカウトの集会で、信号と暗号のメリットバッジ取得を手伝っていました。秘密のメッセージを書き、それを復号する方法を教えたのです。集会中、息子の友達の1人が、なぜ私が暗号技術に詳しいのかと尋ねるのが聞こえました。すると息子は、こう答えました。「ママは、ネットで悪い人たちから僕たちを守る仕事をしているからだよ」その瞬間、サイバーセキュリティ業界で働くことは、単なる仕事ではないのだと気づきました。私たちの取り組みは、日々、人々の暮らしに大きな影響を与えています。

Rachael: 息子さんがあなたをどれほど誇りに思っていたか、目に浮かぶようです。今もきっと同じように誇りに思っているでしょう。あなたは起業家精神にあふれるリーダーであり、サイバーセキュリティとダイバーシティを広く啓発する第一人者です。スポークスパーソンやブロガーとしても積極的に活動し、CISSP認定も取得しています。これまでのキャリアで、誇りに思うのはどのような瞬間ですか?

Angel: 奇妙に聞こえるかもしれませんが、私が関わったことを誇りに思い、今でもよく振り返る出来事の1つは、勤務先でサイバーセキュリティ侵害が発生した際の対応です。政府機関や軍事機関、銀行、医療機関をはじめ、世界中の多くの組織で数百万人のユーザーに影響が及んだため、これ以上ないほど謙虚にさせられる学びの機会となりました。この侵害は、誰もが標的になり得ること、そして現在、多くの組織が依存する、相互に密接につながった巨大なサードパーティのサプライチェーンエコシステムによって、攻撃対象領域の脆弱性が今後さらに広がっていくことを強く認識させる大きな警鐘となりました。

この侵害から、私は2つの重要な教訓を得ました。1つ目は、危機においてリーダーシップを発揮するには、社内外のステークホルダーとの明確なコミュニケーションが不可欠だということです。たとえばCEOは、法的に可能な限り詳細な情報を開示し、お客さまを第一に考える姿勢を貫くべきだと強く主張しました。そして直ちにチームを結集し、すべてのお客さまに連絡して、自らを守る方法を確実に把握していただけるようにしました。

2つ目は、サイバーセキュリティには真のコミュニティが不可欠だということです。この業界には、共通の目的に根差した本物のコミュニティ意識があります。元従業員や世界各地の組織、政府機関が一丸となり、仲間による攻撃者の追跡を支援する姿は驚くべきものでした。そして最終的には、侵害を受けた組織を悪者ではなく被害者として捉えるよう、意識を変えることにもつながりました。

仕事と生活の両立は難しいものです。だからこそ、思い切って挑戦し、楽しみましょう

Rachael:攻撃対象領域の広さには驚かされます。刻々と変化する脅威環境に立ち向かうには、サイバーセキュリティ分野のジェンダーギャップ解消をさらに進めることが不可欠です。特に夜も眠れないほど懸念している脅威を1つ挙げるとしたら、何でしょうか?

Angel: 20年にわたりサイバー犯罪と闘ってきた経験から、これはテクノロジーよりも心理や経済に関わる問題だと学びました。犯罪者の動機は通常、共通する心理的要因によって生まれ、犯罪を実行する機会や手段を探るようになります。そのため、今、私が最も懸念している脅威は、生成AIによってサイバー犯罪に手を染めるハードルが劇的に下がっていることです。

犯罪者はAIを利用して犯罪行為を加速させ、犯罪に伴う経済的な障壁を引き下げています。たとえば、ChatGPT 4には、「目が見えない」と偽る人物をソーシャルエンジニアリングによって誘導し、CAPTCHAを回避してアカウントを乗っ取るために利用できるほどの知能があることが確認されています。また、文章やディープフェイク音声で個人になりすまし、個人情報や金融情報を収集する高度なフィッシング攻撃にAIが利用されているほか、AI対応ボットがWebサイトやアプリにアクセスする事例も確認されています。さらに、犯罪者がポリモーフィック型マルウェアの生成にAIを多用することも想定しておく必要があります。

AIを活用したサイバー攻撃により、犯罪者は脆弱性を迅速に探し出して悪用し、攻撃ごとの対応から学習して、従来の人間による攻撃をはるかに上回る速さで戦術を調整できるようになります。サイバーセキュリティ業界も、AIによるサイバー犯罪に対抗するため、AIを積極的に導入し続ける必要があります。F5は数年前から防御戦略にAIを取り入れており、たとえばDistributed Cloud Bot Defenseを使用して、不要な悪意のある自動トラフィックと正当な人間によるトラフィックを分離し、ボットから組織を防御できるよう支援しています。また、犯罪者が戦術を刷新するのと同じ速さで、お客さまが防御策を再構築できるよう支援しています。

サイバーセキュリティ啓発月間の20周年を機に、サイバーセキュリティ業界で働くことに関心を持っていただけたなら、ぜひNISTのサイバーセキュリティ分野のキャリアパスに関するリソースとF5の募集中の職種をご覧ください。

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タグ: 2023

著者について

Rachael Shah
Rachael Shahシニアプロダクトマーケティングマネージャー | F5

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