分散型サービス拒否(DDoS)攻撃はアプリケーションの可用性を脅かすため、DDoS緩和ソリューションを導入することが不可欠です。
分散型サービス拒否(DDoS)攻撃は、特定のアプリケーションやWebサイトを標的とするサイバー攻撃の一種で、その目的は、標的のシステムのリソースを消耗させて、正規のユーザーがアクセスできなくすることです。2023年、アプリケーション レイヤへの攻撃は165%増加し、攻撃を受けたあらゆる業種のうちテクノロジ部門が上位を占めています。そのため、アップタイムとレジリエンスを維持するためには、包括的なDDoS緩和ソリューションを整備することが不可欠です。
DDoS攻撃の緩和方法とソリューションを掘り下げる前に、今日のDDoSの脅威を十分に理解する必要があります。分散型サービス拒否(DDoS)攻撃は、標的のリソースをトラフィックであふれさせることでインフラストラクチャを劣化させ、過負荷をかけて動作不能に陥らせます。また、特殊な細工を施したメッセージを送り付けてアプリケーション パフォーマンスを低下させるDDoS攻撃もあります。DDoS攻撃はファイアウォールのステート テーブルなどのネットワーク インフラストラクチャや、サーバやCPUなどのアプリケーション リソースを標的とします。
DDoS攻撃は深刻な結果をもたらし、オンライン サービスの可用性と整合性を損ない、大きな混乱を招き、経済的損失だけでなく評判の低下にもつながりかねません。またこの攻撃は、注意をそらして、攻撃者が重要なデータにアクセスするために使用されることもあります。
DDoS攻撃は、大量のトラフィックで過負荷をかけてネットワーク、サーバ、Webサイトの正常な機能を中断させることを目的とするサービス拒否(DoS)攻撃の一種です。DDoS攻撃の場合、複数のデバイスを利用して標的を大量のトラフィックであふれさせます。DDoS攻撃では複数のシステムが1つのシステムに攻撃するため、脅威の規模がはるかに大きく、阻止するのがより複雑になります。
以下は、7レイヤの開放型システム間相互接続(OSI)モデルで見られる一般的なタイプのDDoS攻撃です。
DDoS攻撃で使用される一般的な攻撃ベクトル:
DDoS攻撃の脅威は甚大であり、企業は潜在的にサイバー攻撃に対してより脆弱な状態にあります。そのため、攻撃を緩和するための対策を講じるには、DDoS攻撃の仕組みを理解することが不可欠です。
DDoS攻撃を受けると、著しいダウンタイムが発生してサービスの可用性が損なわれ、経済的損失と評判の低下につながります。
保護:DDoS緩和対策を導入することで、企業は、悪質なトラフィックがネットワーク インフラストラクチャに到達するリスクを減らすと同時に、正当なユーザーがWebサイトやWebアプリケーションに確実アクセスできるようにすることができます。DDoS攻撃は、データ侵害を目的とする組織的な攻撃キャンペーンからセキュリティ チームの注意をそらす隠れ蓑として利用されることがあります。また、攻撃のタイプによっては、単純にコード化して排除できないものもあります。
レジリエンス:効果的なDDoS緩和技術に投資することで、国家的敵対者やその他の攻撃者に対する組織のレジリエンスが強化され、標的として狙われにくくなります。
コスト削減:DDoS攻撃を速やかに緩和することで、時間と資金を節約できます。
サイバーセキュリティ ポリシーにDDoS緩和対策を組み込むことで、組織はリソースをプロアクティブに保護し、サービス可用性を維持して、潜在的なDDoS攻撃の影響を最小限に抑えることができます。
ビジネスクリティカルなデータやアプリケーションなど、DDoS攻撃に脆弱であることのリスクとDDoS緩和ソリューションの導入が重要な理由を見てきました。次は、DDoS緩和対策の種類を確認してニーズに合った最適なソリューションを見極めましょう。
DDoS攻撃のリスクを緩和するために組織が導入できるオンプレミスのソリューションや対策にはいくつかの種類があります。その一部は、クラウドベースの対策に追加して使用することで、さらに堅牢な全面的な防御態勢を構築できます。
DDoS緩和対策をクラウド ソリューションまたはハイブリッド ソリューションに移行すると、効率性、拡張性、有効性を向上させることができます。一部のクラウドベース ソリューションはオンプレミス ソリューションと統合することができます。クラウドベースのDDoS緩和ソリューションは、クラウドデリバリ ネットワーク(CDN)上で運用します。
DDoS緩和対策をハイブリッド ソリューションに移行すると、パブリック クラウド セキュリティ、プライベート クラウド管理、またはオンプレミス管理のパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。ハイブリッド モデルの場合、セキュリティ体制を独自のデータ ニーズに合わせて高度にカスタマイズできます。
アプリケーションは現代のビジネスの原動力ですが、DDoS攻撃の標的となるケースが増えています。従来のDDoS緩和対策は静的で、集中的に管理されますが、アプリケーションはクラウドやアーキテクチャ間で分散されているため、アプリケーションを最大限に保護するには、拡張性と柔軟性を備えたDDoS緩和ソリューションが必要です。
包括的なDDoS緩和戦略には通常、主な要素がいくつかあります。
DDoS緩和対策の最初のステップは、潜在的な問題やリスクを検出することです。脅威を特定してアラートをトリガする主な方法には、シグネチャベースの検出と異常ベースの検出の2つがあります。
シグネチャベースの検出では、脅威を特定するための既知のセキュリティ侵害インジケータ(IOC)を事前にプログラムしたリストを利用します。このIOCには、ネットワーク攻撃の悪質な動作、メールの件名の内容、ファイル ハッシュ、既知のバイト シーケンス、悪質なドメインなどを含めることができます。シグネチャベースの検出は、既知の攻撃に対しては高い処理速度を発揮し、誤検出率も低いですが、ゼロデイ攻撃を検出することはできません。
一方、異常ベースの検出は、未知の疑わしい動作についてアラートをトリガすることができます。異常ベースの検出ではまず、正規化されたベースラインをシステムに登録し、動作をこのベースラインと比較します。通常とは何か異なる動作が検出されるとアラートがトリガされます。異常ベースの検出では誤検出率が高くなる可能性があります。
DNSリソースを保護することはビジネスに不可欠です。これに役立つリアルタイムのトラフィック迂回ソリューションは2つあります。
トラフィックがネットワークに向かって移動し、通過する際に、悪質な動作がないかトラフィックを継続的に監視するDDoS緩和ソリューションが必要です。
組織のニーズを満たすDDoS緩和ソリューションを検討する場合は、ビジネスの成長軌道と想定されるリスク対象を念頭に置いて、以下の要素を考慮してください。また、クラウド サービスを検討している場合は、プライベート クラウド企業だけでなく、パブリック クラウド(AWS、Google Cloud、Microsoft Azure、Alibaba Cloud)から選択することもできるようになりました。
包括的なDDoS緩和ソリューションは、ネットワークに予防の網を張り巡らせ、リアルタイムのインシデント対応、継続的なテストとレビューによって最大限のパフォーマンスを確保します。
ネットワーク アーキテクチャ設計:優れた設計のネットワーク アーキテクチャは、ネットワークのレジリエンスと大量トラフィックへの耐性を確保することで、DDoS攻撃の阻止に貢献します。例えば、複数のセキュリティ レイヤ(ファイアウォール、侵入検知システム、その他のセキュリティ対策)が組み込まれたネットワークは、DDoS攻撃がネットワークに侵入するのを阻止するのに役立ちます。また、ネットワーク セグメンテーションは、影響を受けたネットワークの領域を隔離することで、攻撃の影響を抑えるのに役立ちます。
ロード バランシング:ロード バランシングは、複数のサーバにトラフィックを分散させることでDDoS攻撃を阻止し、1台のサーバに負荷が集中することを回避できます。その結果、DDoS攻撃を受けてもネットワークの可用性を維持することができます。またロード バランサも、悪質なトラフィックの検出とブロックに役立ち、DDoS攻撃の成功を阻止できます。
ベンダーSLAの詳細:DDoS攻撃対策にサード パーティを検討する場合は、あらゆるDDoSシナリオにおけるベンダーの能力を把握し、SLAに手順、措置、対応を組み込むことが重要になります。
DDoSインシデントの処理手順:DDoSインシデントに迅速かつ効果的に対応するための主な手順は6つありますが、重要なのは、これらの手順が直線的ではなく、循環的に行われることです。
DDoSインシデント時の緩和対策プロバイダとの連絡手順:発生当初から、企業とその緩和対策プロバイダが厳密な連絡手順に従うことが重要です。インシデント時の連絡について推奨されるベスト プラクティスは以下のとおりです。
ITチームとセキュリティ チームは定期的に分析とテストを実施する必要があります。テストの1つにレッド チーム テストがあります。このテストでは実際の攻撃者の戦術と手法をシミュレーションします。この際、レッド チーム テスト担当者はさまざまなDDoS攻撃を試行して緩和ソリューションの対応を監視します。
世界中の攻撃者がその手口を変え続けているため、サイバー攻撃の最新の動向を常に把握しておくことも重要です。緩和ソリューションは、拡張性があり、あらゆる新たな妨害活動にも適応できなければなりません。
世界中のどの地域で、どのような業種、規模で事業を行っている組織も、信頼性の高いDDoS緩和ソリューションを導入するメリットがあります。以下の事例は、DDoS緩和ソリューションがあらゆるシナリオでいかに効果的であるかを示しています。皆様と同じ状況の企業が、DDoS攻撃のリスクに対峙することで大きな成果を得ています。
DDoS攻撃が出現して数十年が経ちますが、攻撃を仕掛けるその手口はますます巧妙かつ攻撃的になっています。サイバーセキュリティのDDoS分野における現在と将来の動向を把握しておくことが重要です。
F5が2023年に発見した動向の概要は以下のとおりです。
また、サイバーセキュリティ専門家が注目している成長分野が3つあります。
人工知能と機械学習:製造や顧客サービスといった事業の他の部門にAIとMLを導入する企業が増えていますが、DDoS攻撃の検出と緩和にもAIとMLが担える役割があります。最近の調査によると、DDoS攻撃の検出に人工知能を利用したところ、精度が96%を超えたとのことです。
モノのインターネット(IoT):IoTは成長し続けていますが、これに伴ってコンピューティング サーフェスが拡大し、こうしたソリューションが攻撃に対してより脆弱になる可能性があります。専門家は、より強力なセキュリティ手法、パスワード保護の導入と、ファイアウォールやVPSの使用を推奨しています。これらはいずれも攻撃リスクのあるデバイスの数を減らします。
ブロックチェーン テクノロジ:ブロックチェーン テクノロジは、その性質上、分散されているため、分散ストレージのセキュリティを担ってきたこともあり、DDoS緩和対策の選択肢として注目を集めています。このテクノロジは特に、地理的にセキュリティも標的となる、地理的攻撃に有用な場合があります。
DDoS攻撃がなくならない一方で、現在、そして今後も、これらの攻撃を緩和するのに役立つツールが次々と登場しています。
分散型サービス拒否(DDoS)攻撃が出現して数十年が経ちますが、いまだ一掃されてはいません。だからこそ企業は、将来を見据えたDDoS緩和ソリューションを検討する必要があります。F5では事実上、サイバーセキュリティがあらゆる活動の最前線であり、中心です。当社のDDoS緩和ソリューションと優れたサポートを活用することで、潜在的なDDoS攻撃リスクの緩和において、優位に立つことができます。また、DDoS緩和ソリューションは、企業のニーズに合わせて、さらにはDDoS攻撃者の攻撃に合わせて、拡張/縮小し、適応できることも重要です。
お客様とそのネットワークがDDoS攻撃対策を必要とするあらゆる場面で、F5がお手伝いします。当社には、お客様の組織のニーズに合わせて適切なDDoS緩和対策を実装するための豊富な経験があります。
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