AIOpsソリューションには、従来型AIと生成AIの両方が必要

F5エコシステム | 2023年9月27日

生成AIはAIOpsに新たな活力をもたらしました。しかし、今後もAIOpsを発展させていくために必要なAIは生成AIだけだと考えるべきではありません。

2022年当時、AIOpsは瀕死の技術に見えました。いわゆるAIOpsソリューションのほぼすべてが、従来の監視機能を強化した程度のものにすぎませんでした。当時AIOpsに想定されていたユースケースはありふれたもので、アダプティブアプリケーションというビジョン、すなわち運用にインテリジェンスとリアルタイムで変更を実行する能力をもたらすというビジョンの実現には、ほとんど貢献していませんでした。

しかし、そこに生成AIが登場すると、AIOpsは突如として再起の機会を得たかに見えました。ところが、実際はそうではありませんでした。少なくとも、本当の意味では。

その理由を理解するには、AIOpsが提供することを意図した機能という観点から、AIOpsを定義する必要があります。

AIOpsとは

AIOpsとは、一般にIT運用に人工知能を活用することを指す広義の用語です。通常「プラットフォーム」と呼ばれるAIOpsソリューションは、一般に次の4つの異なる機能を提供します。

  • 可観測性:テレメトリの取り込みと異常検知を対象とします。
  • 分析: AIを活用してパターンを明らかにし、コンテキストに基づいてイベントを関連付け、根本原因を特定して、インサイトを生成します。
  • 活用: ユーザーがデータやインサイトを可視化し、操作できるようにします。
  • 実行: 自動化によってインサイトをアクションへとつなげます。

これまでに見られた動きの大半は、生成AIとengage機能の統合です。具体的には、生成AIにより、この機能のインタラクション手段がGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)やAPIからNLI(自然言語インターフェース)へと進化しました。これによりAIOpsは、ZK Researchのレポートで最も多く言及されているAIOpsのユースケースへと大きく近づいています。

  • 64% IT運用の効率化/生産性向上
  • 54% ネットワークまたはアプリのパフォーマンス向上
  • 54%がセキュリティまたはコンプライアンスを改善

生成AIがポリシーや構成を生成し、リスクの軽減やインシデントへの対処を行うことで、対応を実行する用途に使われている兆候も一部見られます。しかし、現時点ではその兆候はわずかであり、主に単一の対象エコシステム、すなわち1社のベンダーまたはプロバイダーのポートフォリオ内に限られています。

生成AIは、分析する能力、つまり観測機能で収集したデータを分析する能力の向上には、ほとんど寄与していません。これは生成AIの欠点ではなく、そもそもその目的で設計されたものではないということです。この用途には、従来型AIを活用する必要があります。

従来型AIとは

生成AIの登場により、従来AIと呼ばれてきたものにも固有の呼称が必要になりました。市場では、「生成AI以外のあらゆるAI」を表す呼称として「従来型AI」が定着しています。

従来型AIは、生成AIと同じトレーニング手法や基本原理を数多く使用しますが、主に構造化データで構成されるコーパスからパターンと関係性を特定することで、結果を分析し、さらには予測することを目的としています。従来型AIは、分類と認識に優れています。

従来型AIは、数十年にわたり次の用途に使用されてきました。

  1. 不正利用や詐欺を防止するためにボットを特定する(アカウント乗っ取り(ATO)など)
  2. ネットワーク(DDoS)トラフィックとアプリケーション(L7)トラフィックの振る舞いパターンに基づいて攻撃を検知
  3. 利用パターンに基づいて製品やサービスを推奨する
  4. 手書き文字および画像の認識

AIOpsにおけるAIの役割

従来型AIは、既存のパターンや関係性を予測するだけでなく、新たなパターンや関係性をほぼリアルタイムで発見できます。この能力こそが、真のAIOpsソリューションにとって従来型AIを極めて価値あるものにしています。新しいデータを分析し、攻撃の存在を推測したり、可用性を妨げる問題やパフォーマンスを低下させる問題を予測したりできるモデルが必要です。従来型AIは、これらの両方を特に得意としており、観測機能に異常検知能力をもたらすとともに、分析機能に必要なパターンや関係性を発見します。

生成AIは、コード、構成、コンテンツを生成できます。生成AIは、既存のパターンを再現し、それを応用して新しいコンテンツを生成します。何かを新たに創造するのではなく、フィードバックに基づいて強化または弱化されるオブジェクト間の関係性を利用します。

実際、生成AIに新しいデータの分析を求めることには、多くのリスクが伴います。正しい答えが得られる場合もありますが、ハルシネーションによって誤った答えが返される可能性もあります。生成AIは突き詰めれば確率に基づく仕組みであり、データポイント間の関係性やパターンが弱い、または十分に存在しない場合、正誤にかかわらず空白を埋めるように答えを生成するためです。

生成AIがもたらすのは、データへの「アクセスのしやすさ」です。クエリ言語の専門知識も、開発者にインターフェースの構築を依頼する必要もありません。さらに、問題解決のために実行できるコードや構成を自動生成することも可能です。これもまた、コードの記述や複数のAPIの活用に関する専門知識が不要になるという点で、アクセスのしやすさにつながります。

しかし、従来型AIによるテレメトリデータのリアルタイム分析がなければ、このようなシステムで対応できるのは、完全に機能するAIOpsソリューションに必要な3つの機能のうち2つの一部にすぎません。したがって、従来型AIと生成AIの両方を使用する必要があります。

  • 観測:異常検知に従来型AIを使用します。
  • 分析:従来型AIを使用してパターンや関係性を明らかにします。
  • 活用: 生成AIにより、ユーザーがデータやインサイトを可視化し、操作できるようにします。
  • 実行:生成AIを活用して、インサイトをアクションにつなげます。

このように、私は生成AIと、運用を簡素化し、さらには迅速化できる可能性に期待しています。一方で、AIOpsにおけるAIの可能性を最大限に引き出すには、従来型AIと生成AIの両方が必要だとも認識しています。

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著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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