GPU as a Service:ASEANにおけるAI成長の起爆剤、その機会と課題

F5エコシステム | 2024年10月14日

人工知能(AI)の進化に伴い、高性能ハードウェアの需要が急増しています。複雑なAIモデルやワークロードの実行に必要なコンピューティング能力を確保し続けることは、組織にとってますます困難になっています。そこで役立つのが、GPU as a Service(GPUaaS)です。

GPUaaSは、クラウド経由で高性能なグラフィックス処理装置(GPU)へのオンデマンドアクセスを提供し、企業のAIインフラストラクチャに対する取り組み方を変革しています。運用を簡素化しながら、高額なハードウェア投資を不要にし、シームレスなスケーリングを可能にするとともに、既存のクラウドサービスと円滑に統合できます。では、GPUaaSは具体的にどのように機能し、なぜAIを活用する組織にとって有力な選択肢となっているのでしょうか。

ASEANにおけるAIの可能性を引き出す

東南アジア諸国連合(ASEAN)では、地域固有の課題に対応するために参入する事業者が増え、GPUaaS市場が拡大しています。この成長を促す主な要因の1つが言語です。オープンソースの大規模言語モデル(LLM)は主に英語でトレーニングされているため、文化的なニュアンスに富む現地の言語への対応に苦慮することが少なくありません。そのため、母語でより正確かつ適切な回答を得られるよう、組織は現地のデータを使用してこれらのモデルを再トレーニングまたはファインチューニングする必要があります。

同時に、GPUaaSの導入は、そのメリットによって促進されています。スケーラビリティにより、プロジェクトのニーズに応じてGPUリソースを容易に調整できます。また、従量課金モデルによる弾力性により、使用した分だけ料金を支払うことで、組織は総コストを削減できます。さらに、GPUaaSでは最先端のテクノロジーをすぐに利用できるため、迅速なプロトタイピングとデプロイが可能になり、柔軟性の向上と市場投入までの時間短縮につながります。

もう1つの重要な考慮事項は、データグラビティ、データレジデンシー、データ主権です。データグラビティとは、パフォーマンスと効率を高めるために、データがその保存場所にアプリケーションやサービスを引き寄せる傾向を指します。多くの場合、データレジデンシーやデータ主権に関する規制により、データを特定の場所に保存する必要があるため、GPUaaSプロバイダーはユーザー基盤の近くに拠点を置く必要があります。また、自国のインフラストラクチャ、データ、リソースを使用してAIを開発する国家の能力を重視するソブリンAIも、地域に根差したGPUaaSの需要形成に大きな役割を果たしています。

最後に、ASEANのクラウドサービスプロバイダー(CSP)におけるGPUのコストと供給不足も、GPUaaSを導入する際の検討要因です。最近のDellのレポートによると、オンプレミスでのAI導入では、CSPベースのソリューションと比較して最大75%のコスト削減が可能です。GPUaaSは費用対効果の高い代替手段であり、多額の初期投資を行ってハードウェアを導入することなく、高性能GPUを利用できます。そのため、ASEAN地域でAI機能の拡張を目指す組織にとって魅力的な選択肢となります。

GPUaaSのメリットとリスクのバランス

GPUaaSのメリットは、その普及を後押しする一方で、特有の懸念ももたらします。主な課題の1つはデータセキュリティです。GPUとの間で送受信されるデータは、傍受や不正アクセスを受ける可能性があります。また、リモートGPUでデータを処理する場合、地域によって異なるデータ保護規制やコンプライアンス要件への対応が必要になることがあります。もう1つの懸念はパフォーマンスです。インターネット接続またはプライベート接続への依存や、GPUパフォーマンスの変動が、アプリケーションの速度と応答性に影響する可能性があります。GPUaaSには安定した高速接続が不可欠であり、最適なパフォーマンスを得るために、パブリックインターネットよりもプライベートネットワークが選ばれることがよくあります。

F5はどのように支援するのか

F5は、GPUaaSプロバイダーを含むパブリッククラウドおよびプライベートクラウド向けに、革新的なマルチクラウドSaaSベースのネットワーキング、トラフィック最適化、セキュリティサービスを単一のコンソールから提供します。

あらゆるネットワーク上に暗号化メッシュファブリックのオーバーレイを構築することで、組織はAI推論、埋め込み、トレーニングを行うためにGPUaaSプロバイダー(AIファクトリー)へ接続できます。ネットワークとアプリケーションを完全にセグメント化し、既存のネットワークアンダーレイ上に構築することで、すべてのオーバーレイ接続のプライバシーとセキュリティを確保します。さらに、F5 encrypted mesh fabricは、正常なAIコンポーネントへのトラフィックを動的に監視、検出、最適化、配信することで、デジタルレジリエンスの課題に対処し、AIアプリケーションを常に稼働させ、利用可能な状態に保ちます。

以下は、GPUaaSプロバイダーのAIファクトリーを活用した、大規模言語モデル(LLM)の検索拡張生成(RAG)デプロイメントの例です。データは暗号化されたセキュアメッシュを介して安全に転送されるため、転送中のデータに関する懸念はありません。また、GPUaaSプロバイダー側に保存データが置かれることもありません。組織のコーパスデータは、変更されることなく元の場所に保存されたままです。このアーキテクチャでは、レイテンシーの影響を受けやすいアプリケーション向けのAI推論を、エッジ(パブリッククラウドや支社など)で実行することもできます。

AIアプリケーション(エージェント型RAG対応チャットボットなど)をインターネットからアクセス可能にする場合は、サイバー攻撃からAIアプリケーションを保護するため、クラウドネットワークベースのWebアプリケーションおよびAPI保護(WAAP)サービスを検討することが重要です。

図1:GPUaaSプロバイダーのAI Factoryを活用した、LLMの検索拡張生成(RAG)デプロイの例
図1:GPUaaSプロバイダーのAI Factoryを活用した、LLMの検索拡張生成(RAG)デプロイ例

単一の管理コンソールを備えたプラットフォームを活用することで、暗号化されたメッシュファブリック上を南北方向および東西方向に通過するAPIを含む、すべてのトラフィックのコンプライアンス、可観測性、制御を実現できるようになりました。

図2:APIディスカバリ、ポスチャ管理、API保護は、AI LLMセキュリティの基盤です。
図2:APIディスカバリ、ポスチャ管理、API保護は、AI LLMセキュリティの基盤です。

さらに、実質的に複雑で異種混在のマルチクラウドインフラストラクチャを管理するには、NetOpsチームとSecOpsチームが、パブリックインターネットおよび暗号化されたプライベートメッシュ上のトラフィックを可視化し、制御できる必要があります。

図3:オンプレミスのデータセンター、プライベートクラウド、パブリッククラウド、エッジにまたがる可能性がある分散AI環境の導入には、マルチクラウドネットワーキングと可観測性が不可欠です。
図3:オンプレミスのデータセンター、プライベートクラウド、パブリッククラウド、エッジにまたがる可能性がある分散AI環境の導入には、マルチクラウドネットワーキングと可観測性が不可欠です。

さらに詳しく知りたい方へ

AIの導入が加速する中、長期的な成功を実現するには、AIシステムにレジリエンスを組み込むことが不可欠です。GPUaaSは拡張性と効率性に優れたソリューションですが、組織はデータセキュリティ、パフォーマンスのばらつき、規制遵守といった課題に対処する必要があります。こうした懸念に対応し、GPUaaSの柔軟性を活用することで、企業は増大するAI主導型ワークロードの需要に、より適切に対応できる体制を整えられます。

AIレジリエンスが組織にもたらす可能性について詳しく知りたい方は、10月15~17日にSands Expo and Convention Centreで開催されるGovWare conferenceのブースP06へお越しください。こうしたトレンドとソリューションについて、さらに詳しくご紹介します。

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著者について

Chin Lim
Chin LimF5 ASEAN担当シニアディレクター

シンガポールを拠点とし、チンの名で広く知られています。F5 ASEANの戦略営業担当シニアディレクターとして、ASEAN地域のお客さまエンゲージメント戦略を統括しています。 Chinは、アプリケーション開発とインフラストラクチャ運用において25年以上の経験を有し、特にクラウドネイティブアーキテクチャ、最新のマイクロサービスアプリケーションデリバリ、セキュアなエッジインフラストラクチャを専門としています。 F5入社以前はBorland Softwareに勤務し、アジア太平洋地域の製品販売管理担当ディレクターとして、アプリケーションライフサイクル管理とミドルウェアを統括していました。Borland Software以前はBEAでソリューションマネージャーとコンサルタントのチームを率い、WebLogicおよびTuxedoプラットフォームを使用した分散アプリケーション環境の設計を支援しました。 Chinは、オーストラリアのニューカッスル大学でコンピューター工学の工学士号(第一級優等)を取得しています。

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