SaaSへの移行準備

F5エコシステム | 2020年8月24日


オンプレミスのソフトウェアをSaaSへ移行しようとしているのは、あなただけではありません。

クラウドの黎明期から、導入の大半を占めてきたのはSaaSであり、それは今も変わりません。かつて汎用品としてパッケージ化され、企業向けに販売されていたソフトウェアが、今ではクラウド経由のサービスとして提供されています。これは目新しいことでも、従来と異なることでもありません。私のような古参は、ASP(Application Service Provider)の時代をよく覚えています。それが突然「クラウド」と呼ばれるようになったのは、まあ、クラウドのほうがクールだったからです。クールと言っても、実際にはホットだったという意味ですが。

しかし、SaaS自体はそれほど新しいものではありません。新しいのは、コモディティ化され、SaaSとしてパッケージ化される業務の範囲です。CRM、SFA、生産性向上、コミュニケーションに加え、あらゆるビジネス機能がSaaSとして提供されるようになっています。

企業内のアプリケーション

そして、組織はこうしたソフトウェアの運用をプロバイダーに委託できる機会を、すぐに活用するようになると予想しています。

そう考えているのは、F5だけではありません。

また、IDGの2020年クラウドコンピューティング調査の回答者は、「今後18か月で、商用ライセンスソフトウェアの利用を現在の65%から50%に減らし、代わりにSoftware as a Service(SaaS)アプリケーションの利用を24%から36%に増やす」と予想しています。

大きな恩恵を受けるのは、バックアップ、リカバリ、ストレージ、アーカイブなど、事業継続に関連するITサービスです。当然ながら、CRM、ERP、人事、その他の業務アプリケーションといったコモディティ化した業務機能もこのカテゴリーに含まれます。一般に、SaaSへ移行するのは、カスタマイズしても高い価値を得られないアプリケーションです。標準的な業務手順やプロセスで十分に対応できるため、プロセスのカスタマイズによってより高い価値が得られる他の領域にリソースを投じる方が効果的です。

これは、SaaSが統合の問題を解消するエコシステムに対応している場合に、特に当てはまります。統合には多大な開発工数が費やされます。統合とは、複数のプロセスをつなぎ合わせるための技術的な実装にほかなりません。現代的な言い方をすれば、デジタルワークフローです。SaaSプロバイダーがこの難しい作業を担い、チェックボックスを選択するだけで統合してワークフローを構築できるようにすれば、SaaSが優位に立ちます。

サービスとしてのITの復活

SaaSの導入領域としてあまり言及されないもう1つの分野が、ITインフラストラクチャです。対象となるのはインフラストラクチャ自体ではなく、アプリケーションサービスのプロビジョニング、構成、運用、レポート作成など、導入後の継続的な運用業務の多くです。多くのIT担当者が引き続き在宅勤務を行うなか、業務に必要なデータセンター(およびクラウドベース)のインフラストラクチャへアクセスできることが、重要な要件となっています。管理ネットワークを外部アクセスから分離する従来のモデルでは、こうした業務が妨げられる可能性があります。よりモダンなSaaSベースのアプローチなら、これらの重要な機能を保護するために必要なアクセス制御と保護を維持しながら、IT担当者がどこからでもインフラストラクチャを運用できるようになります。

また、一般にワークフローの差別化度は高くないため、競争上またはビジネス上の優位性にはほとんどつながりません。アプリケーションの配信とセキュリティ確保に必要な平均10種類のアプリケーションサービスを導入するプロセスは、アプリケーションサービスの観点では標準化されています。アプリケーションサービス自体は差別化された機能を提供しますが、管理プロセスは一般に差別化されていません。こうしたプロセスは、SaaSベースのモデルへ移行するための基本要件を満たしています。

これは新しい概念ではありません。私は10年前、Infrastructure 2.0の動向に関連して、この概念について取り上げました(「architectural parfait」の説明までスクロールしてください)。それ以来、テクノロジーの多くの側面は変化しましたが、クラウドとデータセンター全体に運用機能を階層化する必要性は変わっていません。実際、事実上のマルチクラウド運用モデルに加え、リモートワーク機能の緊急性が新たに高まったことで、データセンターとクラウドに導入されたインフラストラクチャを同等の迅速さでサポートするSaaSベースの管理モデルの必要性は、さらに増しています。

マルチクラウドと場所を問わない働き方が新たな日常として定着する今後数年間で、従来のインフラストラクチャ管理機能がSaaSモデルで提供されるケースは増えていくでしょう。

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著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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