コンテナのスケーリング術:モニタリング

F5エコシステム | 2018年1月25日

コンテナのスケーリングは、サービスの前段にプロキシを置くだけで済むものではありません。スケーリングには分散以外の要素も必要です。変化の速いコンテナの世界でスケーリングを確実に行うには、次の5つの異なる機能が必要です。再試行、サーキットブレーカー、検出、分散、監視です。

コンテナのスケーリング手法を解説する本記事では、監視について詳しく掘り下げます。

モニタリング

監視。車の走行速度から冷蔵庫の中身まで、あらゆるものがあらゆる情報を聞き取り、見張っているかのような時代にあって、「監視」という言葉に抵抗を感じる人は少なくありません。代わりに「可視性」という言葉を使うこともできますし、実際によく使われています。しかし、そうした言葉の言い換えによって、私たちが行っていることの本質が変わるわけではありません。私たちは注意深く見守っているのです。

スケールに関わるあらゆる要素は、監視、つまりリクエストの分散先となる各リソースの状態把握に依存します。リソースがクラッシュした、または直近でシャットダウンされたために「デッドゾーン」となっている場所へリクエストを送信するのは、抜け道のない行き止まりの道に入るようなものです。時間の無駄になります。

監視にはさまざまな種類があります。ネットワーク層で「到達できるか」を確認するping、TCP接続で「応答可能な状態か」を確認する監視、HTTPリクエストで「リクエストに応答するか」を確認する監視があります。さらに、サービスが正しく応答しているかどうかを判定する「正常に稼働しているか」の監視もあります。

サービスの健全性や稼働状況を確認するだけでなく、パフォーマンスの監視も必要です。応答時間に基づいてリクエストを分散する場合、サービスがどれだけ速く応答したかが極めて重要になります。パフォーマンスの急激な変化は問題の兆候である可能性があるため、過去の推移を把握するうえで重要なデータとして監視する必要があります。

アクティブ監視(実際のリクエストを送信してみましょう)、合成監視(模擬リクエストを送信してみましょう)、パッシブ監視(実際のリクエストがどう処理されるかを見守りましょう)があります。それぞれに長所と短所があり、いずれも有効な監視方法です。重要なのは、プロキシがステータスを判定できることです。稼働中か、停止中か、それともエルビスと一緒に建物を後にしたのか、ということです。

到達可能性、可用性、パフォーマンスはいずれも監視の要素であり、スケーラビリティを確保するうえで欠かせません。つまり、単に監視するだけでなく、ロードバランシングプロキシがリクエストの転送先となり得る各リソースのステータスについて、最新情報を保持していることが重要です。

コンテナの性質と、コンテナがマイクロサービスベースのアーキテクチャと組み合わせて使用される傾向を考えると、監視が瞬く間に非常に困難になることがわかります。これは、コンテナ環境内で最も一般的な負荷分散モデルが、フォワードプロキシ(およびサイドカープロキシ)だからです。どちらのモデルでも、リクエストの送信先となり得るすべてのリソースの稼働状態を、各ノードが把握している必要があります。つまり、ほぼすべてのリソースを監視しなければなりません。

フォワードプロキシのヘルス

あるリソースが、自身の限られたリソースを使って15~20台のフォワードプロキシにステータスを応答するのは、効率的とはいえません。このようなモデルでの監視は、パフォーマンスとキャパシティの両方に大きな悪影響を及ぼし、スケーリングをさらに困難にします。

コンテナ環境では、これまでにないほどモニタリングがスケーラビリティに大きな影響を及ぼしています。

それでも、前述のとおり、可能な限り「行き止まり」のリソースに時間を浪費しないためには、モニタリングが不可欠です。

必要な監視に伴う課題は、サービスメッシュがコンテナ環境における将来のスケーリングモデルとして、引き続き支持を集め、普及が進んでいる理由の1つです。

監視は不可欠ですが、負担になるべきではないからです。

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タグ: 2018

著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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