ハイブリッドマルチクラウド時代に企業がAIに取り組むべき理由

F5 ADSP | 2026年4月30日

アプリケーションを取り巻く環境は根本的に変化しました。AIはもはやロードマップ上の将来的な取り組みではなく、次の製品投入、顧客体験、競争上の差別化を推進する原動力です。F5が対話するすべての企業のお客さまは、AIを活用したアプリケーションの構築、AIを利用した脅威からのアプリケーション保護、またはその両方に取り組んでいます。

これにより、アプリケーションデリバリとセキュリティへの投資判断のあり方が変わります。

先日の「ブログ記事」では、より広範なF5 Distributed Cloud Services戦略の一環として、EssentialsパッケージとEnterpriseパッケージからなる新たなパッケージ体系をご紹介しました。この戦略は、F5 Application Delivery and Security Platform (ADSP)に基づくものです。Enterpriseパッケージは単なるプレミアムティアではなく、今後のニーズを見据えて設計されています。

AIが持つ2つの側面

あらゆる企業のお客さまが、同時に2つの現実に直面しています。1つ目は、AIを活用したアプリケーションの構築です。LLMを基盤とするカスタマーアシスタント、AIを活用したレコメンデーションエンジン、インテリジェントなドキュメント処理パイプラインなど、開発チームは従来とは根本的に異なるアプリケーションをリリースしています。これらのアプリケーションはAPIファーストで、クラウドやエッジロケーションに分散し、マイクロサービス、モデルエンドポイント、サードパーティ統合が複雑に連なる構成に依存しています。これらを高い信頼性で大規模に提供するには、従来の負荷分散だけでは不十分です。ハイブリッド環境とマルチクラウド環境の複雑さに対応できるよう設計されたプラットフォームが必要です。

第2に、AIを駆使する攻撃者への防御が求められています。開発チームが活用しているのと同じ生成AIの機能が、脅威アクターによって攻撃手段として利用されています。AIが生成する攻撃は、適応性と標的性が高く、検知もより困難です。AIを活用した脅威は急速に進化しており、フィッシング攻撃は巧妙さを増し、マルウェアの検知もますます難しくなっています。攻撃者は、従来のシグネチャベースの防御では対処が難しい高度な戦術を駆使しています。そのため、サイバーセキュリティの責任者は、従来型のソリューションにとどまらず、堅牢なクライアントサイド保護も導入し、サーバー側とエンドユーザー環境内の両方から生じる脅威から組織を守ることが不可欠です。

“WAF、APIセキュリティ、ボット対策、DDoS緩和、CDN、ネットワーク接続のポイント製品を個別に購入する従来のモデルは、AIによって脅威環境の変化が加速する以前から、すでに限界を迎えつつありました。今や、このモデルを維持することはできません。”


F5 Distributed Cloud Services Enterpriseは、この課題の両面に対応するために設計されています。組織が以下に該当する場合は、Enterpriseをお選びください。

  • ハイブリッドマルチクラウド環境全体で、レジリエントかつスケーラブルなAPIファーストのデリバリーを必要とするAI搭載アプリケーションを構築、デプロイしている
  • シグネチャマッチングだけでなく、振る舞い分析を必要とするAI生成の脅威への対応
  • 規制当局の厳しい監視下にあり、コンプライアンス報告、クライアントサイド保護、機密データ管理が取締役会レベルの優先事項となっている
  • 運用の複雑さとベンダーの乱立を抑えるため、セキュリティとデリバリーのツールチェーンを統合
  • 単一の統合プラットフォームで社内外のアプリケーションを保護

AIアプリケーションを大規模に提供

AIアプリケーションは、複数のクラウド、オンプレミスのGPUクラスター、エッジ推論ポイント、サードパーティのモデルプロバイダーにまたがるAPIファーストのアーキテクチャです。予測困難なトラフィックパターンが発生するため、リアルタイムで適応する低レイテンシーかつ高可用性の配信経路が必要です。

Enterpriseは、こうしたアーキテクチャに必要なアプリケーションデリバリとトラフィック管理の統合レイヤーを提供します。ハイブリッド環境とマルチクラウド環境にわたる負荷分散、トラフィックルーティング、アプリケーション制御を、単一のクラウドベースソリューションに集約します。さらに、CDN、WAAP、エッジサービスを統合するエッジ配信機能と組み合わせることで、AIアプリケーションの実行場所やユーザーの所在地を問わず、一貫したパフォーマンスを確保します。

AIを悪用した脅威からの防御

シグネチャベースの防御は、次のような現実を想定して設計されたものではありません。AIが生成する攻撃は多態的かつ適応型で、正規のトラフィックとの見分けがますます困難になっています。リクエストのたびに攻撃ペイロードを書き換える攻撃者に、静的なルールセットでは対応しきれません。

F5のAI搭載型Distributed Cloud WAFは、設定負荷の高い手動のシグネチャ調整から、動的で結果に基づく脅威評価へと移行することで、Webアプリケーションファイアウォールの運用を根本から変革します。正規ユーザーの利用を妨げることなく、真に悪意のある攻撃者をインテリジェントに特定してペナルティを科すため、セキュリティチームはより早期に、確信を持ってブロッキングモードで導入できます。F5のシグネチャベースの検知エンジンと組み合わせることで、AI搭載型WAFは、より巧妙かつ適応性が高く、自動化が進む今日の攻撃者に対し、多層的でインテリジェントな防御を提供します。その結果、セキュリティチームの運用負荷が大幅に軽減され、保護開始までの時間も短縮されます。進化を続けるAI生成の脅威に対処するうえで、まさに必要とされる効果です。

さらに、F5の悪意のあるユーザーの検知と緩和では、ユーザー行動分析を活用し、アプリケーションを利用する各クライアントの包括的なプロファイルを構築します。各ユーザーにはリスクレベルが割り当てられ、行動データの蓄積に応じてリアルタイムに変化します。これは、単一のリクエストからは判別できないパターンを捉えられるため、AIを活用した攻撃への対策に不可欠です。AIを活用する攻撃者は、正規ユーザーに紛れ込もうとします。悪意のあるユーザーの検知では、複数のシグナルに基づいて行動を継続的にスコアリングし、状況に応じて適応的に対応することで、攻撃者の潜伏を防ぎます。あらゆるインタラクションを証拠に、あらゆる異常をシグナルに変え、脅威レベルに応じて自動的かつ適切な対応を実行します。

さらに、シグネチャだけでなく振る舞い分析も使用するマルウェア検知により、HTTP/HTTPSトラフィックを通じて配信される悪意のあるペイロードを特定し、ブロックします。AIによって攻撃者がポリモーフィック型マルウェアを大規模に生成できるようになる中、振る舞い検知は最後の防衛線となります。

Magecart、フォームジャッキング、デジタルスキミング、PIIの収集といったブラウザベースの攻撃をリアルタイムで監視し、緩和するクライアントサイド保護です。AIを利用する攻撃者は、サーバーサイドWAFでは可視化できないクライアントサイドコードを狙い、悪意のあるスクリプトを挿入するケースが増えています。Enterpriseなら可視化できます。また、PCI DSS 4、GDPR、CCPA、HIPAAへの準拠も直接支援します。これはセキュリティチームだけでなく、取締役会レベルで取り組むべき課題です。

特に重要なのは、Enterpriseが、あらゆるAIアプリケーションを支えるAPIファーストアーキテクチャに高度なAPIセキュリティも提供することです。Enterpriseは自動スキーマ検証により、すべてのAPI呼び出しにポジティブセキュリティモデルを適用し、正しい形式の意図されたリクエストだけがモデルのエンドポイントに到達するようにします。トラフィックベースおよびコードベースのAPIディスカバリにより、AI開発の加速に伴って増加するシャドーAPIや文書化されていないエンドポイントを検出します。さらに、プロアクティブなAPIテストにより、AIを活用したサービスが本番環境に移行する前に、OWASP API Top 10に該当する脆弱性を検出します。

要約すると、Enterpriseは、セキュリティ部門がAIを駆使する攻撃者に先んじるために必要な行動インテリジェンスを提供すると同時に、取締役会や規制当局が求めるコンプライアンスの証拠も提供します。

AI脅威環境に対応する統合

WAF、APIセキュリティ、ボット対策、DDoS緩和、CDN、ネットワーク接続のポイント製品を個別に購入する従来のモデルは、AIによって脅威環境が加速する以前からすでに限界を迎えつつありました。今や、このモデルを維持することはできません。

Enterpriseは、これらの機能を、使用量に応じた一貫性のある計測と予測可能な拡張性を備えた単一のサービスに統合します。膨大なSKUカタログから選定したり、5社のベンダーの製品を組み合わせたりする必要はありません。環境内のあらゆるクラウド、データセンター、エッジロケーションにわたり、インターネット向けアプリケーションと社内アプリケーションの両方をカバーする1つのソリューションに標準化できます。

AIは、最大のビジネスチャンスであると同時に、最も手強い脅威でもあります。アプリケーションデリバリとセキュリティのために選ぶソリューションには、この両面への対応が不可欠です。チームが確信を持ってAIアプリケーションを構築、リリースできるようにすると同時に、AIによる生成が増え、適応性と回避性を高める脅威から防御する必要があります。

F5 Distributed Cloud Services Enterpriseパッケージは、Essentialsからの単なるアップグレードではありません。AI時代に競争力を発揮するための基盤です。Enterpriseパッケージの詳細は、こちらをご覧ください。

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著者について

Debrup Ghosh
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