セキュリティ分野全体で「状態変化」が進行しています。AIとフロンティアモデルの進歩に伴い、アプリケーションを保護・防御する手法はマシンスピードで進化しており、CISOと各セキュリティ組織には、その変化に対応し続けることが強く求められています。
現在の環境下で成功を収めるには、CISOはAIの活用を加速し、AIを利用した攻撃が発生するよりも迅速にリスクを検知して是正する必要があります。また、組織の防御に不可欠な脆弱性管理、セキュリティ運用、レジリエンシーのためのサーキットブレーカーなどにもAIを活用しなければなりません。
今週公開されたF5の「2026年版アプリケーション戦略の現状レポート」では、CISOの責任を変えつつあるアプリケーション、API、AIの新たなトレンドを取り上げています。
世界各地のIT意思決定者を対象とした調査に基づき、CISOが先送りできない3つの優先事項をご紹介します。
1. AIと自動化がインフラに与える影響を把握する
F5の調査によると、現在、アプリケーションポートフォリオの過半数(55%)がAIに対応しており、実験段階のAIが本番環境に導入されつつあります。さらに、67%の組織が自動化を加速するためにAIを活用しています。実際、機械が生成するトラフィック量は、まもなく人間によるトラフィック量を上回る見込みです。
AIおよびAIを活用した自動化への移行が急速に進んでいます。しかし、ほとんどのIT環境は、こうした急激な変化に柔軟に対応できるようには設計されておらず、セキュリティ責任者にとって大きな課題となっています。
“AIと自動化が急速に普及する中、CISOには、複雑さを増すハイブリッドマルチクラウドインフラストラクチャ全体で可視性、制御、シンプルさを優先し、変化に適応することが求められています。”
AIシステムは、環境内に新たな種類のランタイム動作をもたらします。アプリケーションはモデルを呼び出し、エージェントはツールを起動します。自動化システムは継続的なAPIアクティビティを生成します。モデルは他のサービスと連携し、データの取得、ワークフローのトリガー、運用アクションの実行を行います。こうしたやり取りにより、企業インフラストラクチャ内にまったく新しい通信経路が生まれるため、CISOはこれに対処する必要があります。
まず、CISOは自社のインフラストラクチャ内のどこにAIと自動化が存在するかを把握する必要があります。AIアプリケーションと自動化に関するトラフィック、ルーティング、エンドポイントを把握した後は、適切な予防的制御とポリシー制御を適用できるよう、脆弱性を分析する必要があります。
2. AIモデルと推論をインフラストラクチャの中核として管理する
現在、推論はAI活用の中心となっています。F5の調査によると、これはほとんどの組織に当てはまり、平均的な企業では推論エンジンの稼働に7つのAIモデルを使用しています。
企業がAI推論の優れた予測能力を活用する一方で、それを支えるインフラストラクチャは大幅に複雑化しています。
F5の調査では、52%の組織が複数のAIモデルを連鎖させるか、オーケストレーションしていることが明らかになりました。その結果、ルーティングの操作、モデルチェーンを介したデータ流出、モデル間で一貫性を欠くポリシー適用など、新たなセキュリティリスクが生じています。
さらに、組織の90%が近い将来、共有インフラストラクチャを介して推論をルーティングするようになります。共有インフラストラクチャには経済的なメリットがある一方で、セキュリティとパフォーマンスのリスクが高まります。
こうした要因が重なり、CISOがすでに直面している複雑さはさらに増しています。必要な可視性と検出能力を確保するには、セキュリティチームはモデルルーティングと推論レイヤーをインフラストラクチャの不可欠な要素として扱い、現在アプリケーションのルーティングとセキュリティに適用しているものと同等のオブザーバビリティと制御を適用する必要があります。
同様に、セキュリティ境界がモデル自体から推論パスへ移行したことを認識する必要があります。そのため、推論トラフィックも、他の重要なアプリケーションのやり取りと同様に、配信、検査、認証、ガバナンスの適用が必要です。
3. インフラストラクチャ管理を簡素化する方法を見つける
こうした急速な変化の中、F5の調査では、35%の組織が自社のインフラストラクチャはAIワークロードに対応する準備が整っていないと回答しています。AIへの対応準備に関する議論では、GPUへのアクセス、十分なコンピューティング能力、ストレージのスループット、ネットワーク帯域幅といったパフォーマンスに焦点が当たりがちです。これらは確かに重要な懸念事項ですが、問題はキャパシティだけではありません。AIによって複雑さがさらに増す中、CISOにとっては、セキュリティアーキテクチャに加え、制御を効率的に実装し、適用できるかどうかも課題となります。
AIワークロードにより、潜在的な死角が増えます。AIへの対応力を高めるには、セキュリティリーダーは複雑に広がった環境を簡素化する必要があり、そのためには統合的なアプローチが不可欠です。
こうした接続を可視化して管理できる統合プラットフォームがなければ、CISOは効率的かつ戦略的に対応するための制御手段を確保できません。その結果、適切なポリシーの実装、不正行為や攻撃の検知、発見された脆弱性の修正に追われる、事後対応の悪循環に陥ります。
AIセキュリティの課題への対応
AIと自動化が急速に普及する中、CISOには、複雑さを増すハイブリッドマルチクラウドインフラストラクチャ全体で、可視性、制御、シンプルさを優先した対応が求められています。
AIセキュリティを、既存のアプリケーションおよびAPIの運用セキュリティワークフローに完全に統合された追加レイヤーとして導入することで、CISOは組織の保護に必要な柔軟性と俊敏性を確保しながら、AIを戦略的なビジネス上の強みとして活用できます。
F5 Application Delivery and Security Platform (ADSP)は、トラフィック管理、セキュリティ、オブザーバビリティを1つのプラットフォームに統合することで、セキュリティ責任者による複雑な環境の簡素化を支援します。
F5 ADSPを活用することで、CISOはシステムごとに個別設定することなく、1か所からすべての環境にAIポリシーを一貫して適用できます。また、統合された運用ビューを通じて、アプリ、API、AI対応コンポーネントを含むAIシステムをリアルタイムで監視できます。さらに、デリバリー、セキュリティ、AIの監督を単一のプラットフォームに統合し、ガバナンスワークフローを集約できます。
AIセキュリティに関する知見とトレンドについて詳しくは、全文版の「2026年版アプリケーション戦略の現状レポート」をご覧ください。
CISOに対するAIの影響について詳しくは、こちらをご覧ください。
著者について

Michaelは、セキュリティとレジリエンスを中核に据えた全社的な事業運営に向け、戦略の策定と実行を担っています。F5のセキュリティ、リスク、デジタルオペレーションの各組織を統括し、お客さま、パートナー、従業員に対するエンドツーエンドのオペレーショナル・トラストを推進しています。 Montoyaは、2021年から2025年までF5の取締役を務めた後、2025年10月にF5の経営幹部チームに加わりました。F5入社以前はBlueVoyantの最高執行責任者を務め、それ以前にはEquinixおよびDigital Realtyで最高情報セキュリティ責任者を歴任しました。また、Microsoftに10年以上在籍し、最高サイバーセキュリティ責任者、EMEAおよびアジア地域のCIO/CISO、データセンター運用のグローバル責任者など、グローバルなリーダー職を務めました。
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