AIエージェント時代、誰を信頼できるのか?

F5 ADSP | 2026年9月15日

AIの導入が急速に進むなか、多くの組織が自律型エージェントの機能に注目しています。しかし、さらに重要な問いが浮上しています。どのAIエージェント、ユーザー、デバイスを、どの程度信頼できるのかを、どのように判断すればよいのでしょうか。

AIエージェントが消費者に代わってWebサイト、モバイルアプリ、APIとやり取りする機会が増えるにつれ、人間によるトラフィックと自動化されたトラフィックの従来の区別が曖昧になっています。顧客がAI搭載のショッピングアシスタント、旅行プランナー、ファイナンシャルアドバイザーを利用して取引を行う一方で、サイバー犯罪者は同じテクノロジーを悪用し、詐欺、アカウントの不正利用、大規模なデータ収集を自動化しています。

この変化は、セキュリティ責任者に新たな課題をもたらします。長年にわたり、アプリケーションセキュリティでは、個々のリクエストを分析し、トラフィックが正規のものに見えるかどうかを判断することに重点が置かれてきました。しかし、現代のデジタルインタラクション、ひいては現代の攻撃が単独で発生することはほとんどありません。悪意のある攻撃者は、IPアドレスを切り替え、住宅用プロキシネットワークや実際のデバイスを利用し、人間による操作と自動化を組み合わせます。AIエージェントは、正規ユーザーとよく似た動作をしながら機械的な速度で処理するため、その境界をさらに曖昧にします。

こうした課題への対応を支援するため、F5はF5 Distributed Cloud Bot Defenseに2つの重要な機能強化を導入します。これはF5 Application Delivery and Security Platform (ADSP)の一部です。デバイスインテリジェンス機能では、行動、デバイス、クライアントの完全性に関するシグナルを組み合わせたマルチシグナルのリスク判定により、何を信頼するかをリアルタイムで判断できるよう、Distributed Cloud Bot Defenseを拡張します。新たなエージェント型AI保護機能により、単一のポリシーフレームワーク内で、人間、ボット、AIエージェント、正当な自動化を分類・管理できます。これらの新機能を組み合わせることで、企業は自動化された不正行為や悪用をブロックしながら、信頼できるAIトラフィックを許可するために必要な制御を実現できます。

AIエージェントが顧客との新たな接点として普及するにつれ、組織には、信頼できる自動化と不正行為や悪用をより的確に見分ける方法が必要になります。デバイスインテリジェンスとF5 Distributed Cloud Bot DefenseのAIエージェント対応型保護機能を組み合わせることで、ユーザー、デバイス、ボット、AIエージェントにわたる継続的な信頼を確立できます。デバイスインテリジェンスは、継続的なデバイスコンテキストとリスクに関するインサイトを提供します。一方、Distributed Cloud Bot Defenseは、リアルタイムでポリシーを判断し、信頼できるインタラクションを許可するとともに、不審なアクティビティにチャレンジを実施し、悪意のある自動化を阻止します。これらを組み合わせることで、企業は顧客向けアプリケーションとAPIを保護しながら、AIを活用した新たなエクスペリエンスを安全に実現できます。

AIエージェントが新たなデジタルコマースチャネルとして成長する中、小売業者、銀行、旅行サービス事業者など、消費者向けサービスを提供する組織は、不正行為、アカウント乗っ取り、認証情報の不正使用、悪意のあるボットから保護しながら、信頼できる自動化を実現する必要があります。デバイスインテリジェンス機能とF5 Distributed Cloud Bot DefenseのAIエージェント対応型保護機能を組み合わせることで、消費者、デバイス、ボット、AIエージェント全体にわたる継続的な信頼を確立できます。

デバイスインテリジェンスは、継続的なデバイスコンテキストとリスクに関するインサイトを提供します。一方、Distributed Cloud Bot Defenseは、リアルタイムでポリシー判断を適用し、信頼できるインタラクションを許可するとともに、不審なアクティビティには追加の確認を行い、悪意のある自動化をブロックします。これらの機能を組み合わせることで、組織は収益をより効果的に保護し、顧客からの信頼を維持し、安全なデジタル体験を提供しながら、AIを活用した次世代のエージェントベースコマースを安全に支援できます。

“これらの機能強化は、不正行為の削減、運用コストの低減、信頼基盤の構築を支援し、新たなデジタル施策に安心して取り組めるようにします。”

新たな現実:人間、ボット、AIエージェントの間で信頼を確立

デジタル脅威はもはや、反復的なスクリプトを実行する単純なボットだけでは捉えられません。デジタル上のやり取りは、分類がますます困難になっています。人間のユーザー、自動化されたクライアント、AIエージェントが、共通する多くの動作を通じてアプリケーションやAPIを利用するようになったため、正当なアクティビティと悪意のある自動化を区別する従来の手法は効果が低下しています。

組織がAIを活用したエクスペリエンスを取り入れるなか、課題はもはや単にボットを識別することではありません。どのユーザー、デバイス、ボット、AIエージェントを信頼できるかを見極めることです。

デバイスインテリジェンス:F5 Distributed Cloud Bot Defenseの新たな信頼レイヤー

デバイスインテリジェンス機能は、従来のセキュリティツールでは見逃される高度な不正利用を明らかにするために必要な、デバイスレベルの詳細かつ継続的な可視性を提供します。F5 Distributed Cloud Bot Defenseに追加できる強力なオプション機能であり、すべてのデバイスを常時かつ継続的に把握することで、ビジネスの保護に役立ちます。

デバイス履歴図
デバイスインテリジェンスは、デバイスレベルのリスクに関するインサイトを提供し、Distributed Cloud Bot Defenseを拡張します。

デバイスレベルの詳細かつ継続的な可視化

デバイスインテリジェンスにより、従来のセキュリティツールでは見逃される高度な不正行為を明らかにするために必要な、デバイスレベルの詳細かつ継続的な可視性を確保できます。F5 Distributed Cloud Bot Defenseにこの強力な機能を追加することで、あらゆるデバイスの状態を常に継続して把握し、ビジネスの保護に役立てることができます。

セキュリティ戦略に役立つ主な機能は次のとおりです。

  • 永続的なデバイス識別: デバイスインテリジェンスは、デバイスごとに耐障害性と安定性に優れた識別子を生成します。これにより、攻撃者が痕跡を隠そうとした場合でも、複数のセッション、ブラウザー、IPアドレスにわたって特定のデバイスを追跡できます。
  • リアルタイムのリスクスコアリング:高リスクのトランザクションが処理される前に、デバイスインテリジェンスがデバイスの状態を評価し、根拠を説明可能なリスクスコアを生成します。これにより、正規ユーザーに影響を与えることなく、即時かつ自動的に適用措置を実行できます。
  • 包括的なアカウント保護:デバイスインテリジェンスは、デバイスとユーザーアカウントの関係を継続的にマッピングします。このマッピングにより、1台のデバイスから数百のアカウントにアクセスするケース(アカウント乗っ取りの兆候)や、1つのアカウントに通常とは異なる数のデバイスからアクセスするケース(アカウント共有または不正行為の兆候)など、組織的な攻撃を明らかにします。

エージェント型AI時代に特化した保護

デバイスインテリジェンスがデバイスの信頼性を確立する一方、Distributed Cloud Bot Defenseの新たなエージェント型AI保護機能は、組織が自社のデジタル資産とやり取りするAI搭載エージェントの拡大するエコシステムに対する信頼を高めるうえで役立ちます。

従来のボットとは異なり、AIエージェントはアプリケーション内を自律的に移動し、意思決定を行い、APIと直接やり取りして、ユーザーに代わって複雑な複数ステップのワークフローを完了できます。その多くは正当かつ有用ですが、管理されていないもの、許可されていないもの、悪意のあるものも存在する可能性があります。課題は、トラフィックが自動化されているかどうかを見極めることではなく、その自動化をどの程度信頼できるかを判断することです。

図2
F5 Distributed Cloud Bot Defenseでは、きめ細かなポリシー適用により、AIエージェントの追跡、分類、制御が可能です。


F5のエージェント型AIに特化した保護機能は、F5 ADSPにAIエージェントを認識するポリシーフレームワークを導入します。これにより、組織は単一のセキュリティモデル内で、人間、信頼できるAIエージェント、正当な自動化、未知の自動クライアント、悪意のあるボットを検出、識別、管理できます。F5は、ユーザーエージェント文字列や静的識別子だけに依存するのではなく、行動パターン、デバイスインテリジェンス、クライアントの完全性、インタラクションテレメトリを評価し、より多くの情報に基づいて信頼性を判断します。

これにより、組織はエージェント型コマースなど、AIを活用した新たなビジネスモデルを安全に導入できます。承認済みのAIショッピングアシスタントは、サイトの検索、ショッピングカートへの商品の追加、取引の完了が可能です。ポリシー制御により、多くのリソースを消費する自動化を管理できます。一方、不審なエージェントや未検証のエージェントに対しては、リソースの消費、機密情報へのアクセス、不正行為の助長に至る前に、チャレンジの実施、レート制限、ブロックを行えます。

おそらく最も重要なのは、これらの機能により、組織がすべてのAIトラフィックをブロックするか許可するかという誤った二者択一を避けられることです。組織は、信頼できるやり取りを確立し、ガバナンスを適用して制御を維持しながら、イノベーションを推進できます。

デジタルトラストの未来

アプリケーションセキュリティの未来を決めるのは、トラフィックが人間によるものか、マシンによるものかの判別ではありません。あらゆるインタラクションの背後にあるエンティティを把握し、どの程度信頼できるかを判断することです。

デバイスインテリジェンスとエージェント型AIに特化した保護機能により、F5は、組織がリクエスト単位の分析から一歩進み、ユーザー、デバイス、アプリケーション、API、AIエージェント全体で継続的な信頼を確立できるよう支援しています。デジタルエンゲージメントが進化し続ける中、信頼性を的確に判断するこの能力は、ビジネス上の重要な優位性となるでしょう。

デバイス中心のセキュリティが戦略上不可欠な理由

F5 Distributed Cloud Bot Defenseにデバイスインテリジェンスと強化されたエージェント型AI保護機能が追加されたことは、アプリケーションセキュリティにおける重要な進化を示しています。継続的なデバイス中心のインテリジェンスを提供し、AIエージェントの検出、分類、管理を容易にすることで、F5は高度な脅威からビジネスを保護できるよう支援します。これらの機能強化は、不正行為の削減、運用コストの低減、信頼基盤の構築に役立ち、新たなデジタル施策に安心して取り組めるようにします。

詳細については、F5 Distributed Cloud Bot DefenseのWebページをご覧いただくか、お問い合わせください。デモのご予約や、次世代のデジタルインタラクションに向けた組織の準備についてご相談いただけます。また、プレスリリースもぜひご覧ください。

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著者について

Nirav Shah
Nirav Shah製品・ソリューションマーケティング担当シニアバイスプレジデント | F5

Nirav Shahは、F5のシニアバイスプレジデント兼製品・ソリューションマーケティング責任者として、Application SecurityとAI Securityの戦略的方向性を統括しています。F5入社前はFortinetに11年間在籍し、複数のリーダー職を歴任しました。なかでも、AI-Powered SASE、SOC、Secure Networkingソリューションの責任者を務めました。また、Cisco Systemsでも要職を担い、SD-WANに関する主要な取り組みを主導しました。サイバーセキュリティ分野で20年以上の経験を持ち、市場を定義する製品の立ち上げや、製品開発と営業・マーケティングを連携させて最大限の成果を生み出す高パフォーマンスチームの構築において、確かな実績を築いています。ソートリーダーでありUSCの卒業生でもあるShahは、業界カンファレンスに頻繁に登壇し、AIとサイバーセキュリティの交差領域について主要な出版物に定期的に寄稿する一方、次世代のサイバーセキュリティ専門家の育成にも尽力しています。

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