これまで、デジタル成熟度が最も高い組織では、明確に定義されたビジネス目標と運用目標に基づいて自動化によりスクリプトを実行し、構成の変更やポリシーの調整を適用してきました。しかし、生成AIの登場により、こうした手法は過去のものになりつつあり、現在はより自律的なシステムの実現が新たな目標となっています。
これは、最近読んだIntel’s State of Cloud Optimization 2024の「調査回答者の60%が、最適化ツールの自律性を非常に重要、または極めて重要と考えている」という記述に基づく私の結論です。
最適化ツールとは何かというと、コストに関するツールであり、より具体的には、2024年の最優先事項である「クラウドコストの削減」を実現するためのものです。
要するに、FinOpsです。
しかし、自律化はクラウドコストの削減だけを目的とするものではありません。運用上の煩雑な作業をなくし、生成AIの力を活用して、デリバリーの最適化とセキュリティも自律的に実行することを意味します。
生成AIに最も期待する価値について尋ねたところ、アプリケーションセキュリティとアプリケーションデリバリーのどちらの用途でも、「自律的な調整」が最多の回答となりました。
- セキュリティ:脅威の検知時に、セキュリティポリシーを自動調整し、セキュリティ設定を生成
- デリバリー:サービスレベル目標(SLO)に基づいてアプリとAPIのポリシーを自動調整し、デリバリーを最適化
つまり、企業は生成AIを活用し、自動化スクリプトから、セキュリティ、パフォーマンス、コスト管理の目標を達成するためのポリシーの自律的な調整・生成へと、自動化戦略を高度化しようとしています。
自動化の現状
より自律的な運用は、少し未来的で実現困難に思えるかもしれません。しかし、企業全体における現在の自動化レベルは、実際にはかなり目を見張るものがあります。各組織の自動化への取り組みが昨年どの段階にあったかを考えると、なおさらです。
2022年末近くの時点でも、過半数(52.5%)の組織がハイブリッド型の自動化戦略を採用していました。スクリプトを使用して構成を変更し、ポリシーを適用していたものの、そのスクリプトは手動で実行していました。システムからスクリプトを起動していた組織は約4分の1(25.4%)にすぎず、実に21.9%の組織は自動化をまったく利用していませんでした。
そして2023年末には、ほとんどの組織が自動化への取り組みを大きく前進させています。

今年は、自動化を無視している組織は10社に1社未満(8.2%)となり、最高成熟度(自動化)に達した組織の割合はほぼ倍増しました。
しかし、この便利なチャートには「自律化」という新たな目標が加わっていることにお気づきでしょう。
その理由は、生成AIが登場し、完全自律型運用という目標は単に可能なだけでなく、実現可能であることを示したからです。生成AIは、自由回答形式の質問に対してはハルシネーションを起こすことがありますが、適切に定義されたスキーマや構文仕様に基づく構成やコードなど、構造化コンテンツの生成に特化すれば、高い性能を発揮します。そして、生成を重ねるほど、その性能は向上します。ある意味では学習し、定義されたサービスレベル目標を達成できるようにインフラストラクチャとアプリサービスを調整するための適切なポリシーや構成を、熟練したレベルで生成できるようになります。
また、F5の調査によると、組織はその実現を望んでいます。これは、オートメーションをより全面的に活用するほど、その取り組みから得られるメリットが大きくなるためと考えられます。

しかし、こうした自動化を推進するには、何らかの基盤が必要です。具体的で、測定可能で、行動につなげられるものです。
その「何か」とは、データです。テレメトリより具体的には、組織が高速性、可用性、セキュリティを確保したいアプリケーションやAPIを支えるシステムとサービスによって生成されるテレメトリデータです。
そのため、デジタルトランスフォーメーションの加速に組織が必要とする6つの主要な技術的能力について考える際、オートメーションとオブザーバビリティは1つの領域として扱われます。オブザーバビリティを伴わないオートメーションは推測にすぎず、オートメーションを伴わないオブザーバビリティでは、組織が何十年も求めてきた可視性を実現しても、それを十分に活用できないためです。
そして、これらすべてのデータとテレメトリは、それらを分析して実用的なインサイトを生成し、生成AIが活用できるようにする予測AIエンジンの原動力にもなり、構成やポリシーの自律的な調整を可能にします。
そうです。今、すべてが1つにつながろうとしています。AIOpsは、自動化の次なる進化であり、その実現を支えているのが生成AIです。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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