可視性は、しばしば課題として挙げられます。一般に、アプリケーションの実行中に発生するトラフィック、トランザクション、エラーを検査できることを指します。しかし、ビジネスレイヤーにおける可視性には、さらに重要ともいえる別の意味があります。それは、企業が保有するアプリケーションポートフォリオの完全なインベントリです。
F5の調査「State of Application Services」(当時の名称はState of Application Delivery)の初期には、誰にも気付かれずに停止できるアプリがいくつあるかを回答者に尋ねていました。
その目的は、収益または生産性の面で、実際にどれだけのアプリがビジネスにとって「不可欠」なのかを明らかにすることでした。
現在では、もうこの質問はしていません。ほとんどの人は、重要なアプリの割合はおろか、自社のポートフォリオにアプリがいくつあるのかさえ、まったく把握していないことが分かったからです。
2017年にこの質問に寄せられた、2,104人の回答者による回答を見てみましょう。

この演習は、F5のKara Spragueによる次の見解を裏付けているようです。「自社のポートフォリオに含まれるアプリケーション数を確信を持って報告できるお客さまは0%です。」
お客さま、そして市場全体の事情を考慮すれば、現在の企業のかなりの割合が複数の世代にまたがって存続していることも見逃せません。本来なら状況を十分に把握しているはずのCIOも、その役職自体が1990年代後半まで存在しなかった可能性があります。また、現在CIOを務めている人物は、わずか10年前にその職に就いていた人物とは異なる可能性が高いでしょう。アプリケーションポートフォリオのカタログ化や棚卸しが話題に上るようになったのは、21世紀に入ってからかなり後のことです。
また、買収や合併がアプリケーションポートフォリオに及ぼす影響も軽視できません。たとえ自社のポートフォリオに含まれるアプリの正確な数を把握していたとしても、自社が買収した企業、あるいは自社を買収した企業のアプリについてはどうでしょうか。
実際、アプリケーションが各企業のビジネスにとってどれほど重要で、不可欠な存在であるかが市場で認識されるようになったのは、ここ数年のことです。アプリケーションは、現在投資している資本であり、将来のリターンが期待されています。
つまり、アプリケーションは絶えず攻撃にさらされているため、これまで以上にしっかりと保護する必要があります。
そもそも、それらを見つけ出せてしまうことが、この保護をさらに難しくしています。
しかし、見つけ出さなければなりません。最も「重要」なアプリケーションは保護していても、すべてを保護できているわけではないからです。しかし、すべて保護すべきです。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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