F5 NGINX Plus長期サポートリリースを発表
はじめに
NGINX Plus R37のリリースに伴い、F5はエンタープライズ顧客向けソフトウェア提供モデルにおける大きな変更を発表しました。これまでのNGINX Plusは、継続的に新機能を追加していく「Continuous Release(CR)」モデルを採用しており、いわゆるLTS(Long-Term Support)版は提供されていませんでした。
そのため、多くのユーザーは以下のような課題を抱えていました。
- 定期的なアップグレード対応が必要
- サポート期間が比較的短い
- 機能変更への継続的な追従が必要
- インフラの安定性を維持しながら運用変更を最小化する必要がある
特にエンタープライズ環境では、「常に最新を追い続ける」ことが必ずしも最適とは限らず、安定性を重視した長期運用モデルへのニーズが高まっていました。こうした背景の中、F5はNGINX Plusとして初となる商用Long-Term Support(LTS)リリースを発表しました。これは、NGINX Plusのリリース戦略における大きな転換点と言えます。
なぜLTSが必要になったのか?
背景には、NGINX Plusの利用領域拡大があります。現在のNGINXは単なるWebサーバーではなく、API Gateway、Kubernetes Ingress Controllerなど、ミッションクリティカルなアプリケーション基盤で利用されています。その結果、頻繁なアップグレードが難しい、検証コストが高い、金融・公共系では特定バージョンの長期利用が求められる、FIPS対応など、長期運用を前提とした要件への対応が必要といったエンタープライズ要件が強くなってきました。
特に大規模環境では、「最新機能を迅速に取り込むこと」よりも、「安定した基盤を長期間維持すること」が重視されるケースが増えています。
従来のNGINX Plusリリースモデル
従来のNGINX Plusは継続的に新機能を追加するリリースサイクルを採用していました。
そのため、新機能を迅速に利用できるメリットがある一方で、長期間同一バージョンを維持したいユーザーにとっては、継続的なアップグレード対応が必要となる側面もありました。
今回のLTSが意味するもの
各NGINX LTSリリースは、一般提供(GA)から36か月間サポートされ、重要な不具合修正や高優先度のセキュリティ修正、安定性向上を目的としたバグ修正に加え、サポート対象となるサードパーティ依存関係のメンテナンス、および包括的なテクニカルサポートを提供します。また、本番環境における高い信頼性と運用安定性を確保するため、LTSリリースでは新機能追加を行わず、変更は保守およびセキュリティアップデートに限定されています。
デュアルレーンリリースモデル
長期サポート(LTS: Long-Term Support)
年次で提供される、安定重視のリリースモデルです。
本番環境での利用を前提として設計されており、各LTSリリースは3年間サポートされます。期間中は、セキュリティパッチ、安定性向上のための不具合修正、サードパーティ依存関係のメンテナンス、および包括的なテクニカルサポートが提供されます。
継続的リリース(CR: Continuous Release)
新機能や機能改善を迅速に提供するリリースモデルです。
常に最新のイノベーションを利用できる一方、サポート対象は最新バージョンのみとなり、不具合修正や改善は継続的なアップグレードを通じて提供されます。
まとめ
今回のNGINX Plus LTS導入は、エンタープライズ利用をより強く意識したリリースモデルへの進化と言えます。安定性を重視するユーザーには、3年間サポートされるLTSによって、長期運用と運用負荷の低減を実現します。一方で、最新機能を迅速に活用したいユーザー向けには、従来通りContinuous Release(CR)が提供されます。これによりNGINX Plusは、「安定性」と「継続的なイノベーション」の両立を可能にする、柔軟なデュアルレーン型のリリース戦略へ移行したと言えるでしょう。
関連情報
Announcing the first F5 NGINX Commercial Long-Term Support release
F5 NGINX Plus 37.0 Release now available
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