F5 最新調査:日本の製造業と金融業界は、AI導入を急速に推進する一方で、セキュリティ対策が追い付かず
報道関係各位
2026年8月24日
F5ネットワークスジャパン合同会社
両業界においてAI先進企業と遅れをとる企業を分ける最大の要因は、規制ではなく、リーダーシップの意識であることが判明。シャドウAIとデータ漏えいが、共通の死角として浮上
あらゆるアプリケーションおよびAPIのデリバリーとセキュリティを担うグローバルリーダーであるF5 (NASDAQ: FFIV) は、日本国内の製造業と金融業界における2つの調査レポートを発表しました。本調査では、日本の製造業および銀行をはじめとする金融業界における生成AI の導入状況と、セキュリティ面での課題や対策について分析しています。「インテリジェント・ファクトリー (The Intelligent Factory)」調査は、製造業のテクノロジーおよびセキュリティ部門のシニアエグゼクティブを対象とし、「トラステッド・バンク(The Trusted Bank)」調査では金融業界を対象に、2026年4月に実施しました。
この調査では、日本の最重要産業全体に共通する傾向が浮き彫りになりました。日本では国が主導するAI分野のガバナンス改革により、企業・組織が懸念していた障壁は取り除かれたものの、AI導入への意欲とAIセキュリティ対策の徹底との間にギャップが広がっており、これが現在、AIの安全で大規模な導入における最大リスクとなっています。
「日本の製造業や銀行の妨げになっているのは、規制ではなく企業自身の警戒心です。AIの導入とセキュリティ構築の間に横たわるギャップをいち早く埋めた企業・組織こそが、最も高価値かつ機密性の高い分野において、自信をもってAIの導入を実現できるでしょう。そうでない企業・組織は、中核となるデータや知的財産を危険にさらすことになるでしょう」と、本調査レポートは結論付けています。
ガバナンス改革は効果を発揮、現在の制約要因は経営陣の意識
両業界とも、日本で2025年に敢行されたAIガバナンス改革により、AI 導入が鈍化したのではなく、むしろ加速したと報告しています。製造業の回答者の48%、金融業界の回答者の50%が、過去12か月間でガバナンス改革により導入ペースが加速したと回答しました。
規制がもはや障害ではなくなった現在、各業界の進展速度を左右する決定的な要因は、経営陣の考え方にあるようです:
- 製造業では、経営陣の見解はほぼ二分されています。43%が自社の姿勢を「慎重に進める」とする一方、41%は「安全策を講じつつAIを活用する」としています。AI推進の意識を持つ企業・組織は、AIを正式に導入している割合が1.3倍高くなっています (75%対59%)。
- 金融業界では、その差はさらに顕著です。経営陣の58%が依然として慎重な姿勢を保っているのに対し、AI活用を推進しているのはわずか34%にとどまります。しかし、AI活用を推進する企業・組織は、正式な導入率において4.3倍の優位性を示しており (94%対22%)、これは両調査を通じて確認された中で最大の格差となっています。
導入は進むものの、全社規模での展開は依然として少数
生成AIの導入に関して、製造業では概ね試験段階に移行しています。生成AIを全社規模で展開している企業・組織はわずか3%である一方、29%が複数の試験プロジェクトを実施しており、21%はすでに社内での本番運用に入っています。金融業では、二極化が進んでおり、10%が生成AIを全社規模で展開しているのに対し、44%は積極的な取り組みや非公式な試行や試験導入が限定的であるなど、現時点でほとんど着手されていない状態です。
両業界を通じて、コンテンツ作成、ナレッジ検索、分析サポートが生成AIの主な使用事例となっており、経営陣が最も期待する成果は生産性と効率性の向上となっています (製造業で83%、金融業で68%)。
共通の未管理リスクとして浮上する「シャドウAI」
従業員による未承認の一般向けAIツール使用は、両業界で共通しており、製造業の43%、金融業の50%がこの実態を報告しています。すでに正式なAIプログラムを実施している企業・組織ではその割合がさらに高まっています。しかし、両業界ともにその対策は、強制力のあるものでなく、ポリシーやトレーニングに大きく依存しているようです。こうしたリスクを管理するために、データ漏えい防止 (DLP)、プロンプトのログ記録、アクセス制限などの技術的対策を採用しているのは、製造業のわずか6%、金融業の10%にとどまっているのが現状です。
本調査では、次のように指摘しています。「代替手段を提供せずにアクセスを遮断しても、その行為自体を阻止することは不可能です。また強制力を伴わずに代替手段を提供するだけでは、誤った安心感を生み出すだけです。これらはセットで対策する必要があるのです」。
セキュリティインフラは、過去の時代を想定して構築
両業界とも、強固なセキュリティ基盤を備えています。Webアプリケーション ファイアウォール (WAF) やAPIセキュリティが広く導入されていますが、残念ながらこれらのツールはWebやネットワーク上の脅威を想定して設計されたものであり、プロンプト インジェクション、モデル出力を通じたデータ抽出、AIツールを介した不正なデータアクセスといったAI特有のリスクには対応できていません。
その結果、成熟し、継続的に監視されているAIセキュリティ体制を構築していると報告しているのは、製造業ではわずか10%、金融業では12%に留まります。データ漏えいの阻止と機密性の確保は、両業界において最も大きなセキュリティ上の懸念事項であり、各業界の回答者の60%がそのように答えています。このように経営陣が最も懸念するリスクと、それを実際に検知・対応する能力との間には、48%から50%のギャップが存在しているのです。
AIセキュリティ予算についても同様の傾向が見られます。製造業の41%、金融業の42%が、AIセキュリティへの支出は場当たり的、あるいは未定義のままです。最も先進的な導入企業でさえ、全社規模で展開している製造業の3社中2社は、依然として明確な使用事例や体系的なセキュリティ予算を欠いているのが現状です。
両業界の違い:「知的財産リスク」対「顧客向けビジネス機会」
今回実施した2つの調査は、それぞれの業界が直面するリスクと機会が異なる側面を浮き彫りにしました。
- 製造業が抱える「リスク」は知的財産 (IP)。回答者の37%が、製品設計データ、CADファイル、技術仕様を、生成AIに関する最大の懸念事項として挙げています。一方で、同業界では、AIの導入が最初に拡大すると予想されている分野として、工場運営 (27%) とエンジニアリング/R&D(21%) が挙げられています。これらの領域へのAI導入は、いずれも業界の中核となる競争力資産に直接的なリスクをもたらします。
- 金融業における「機会」は顧客対応型のAIに。チャット、音声、エージェント支援といった顧客対応の場面で、生成AIを大規模に導入している金融業はわずか10%にとどまる中、46%は導入を検討していないか未定のままです。顧客データの機密性が最大の障壁 (56%) として挙げられていることから、本調査では、競合他社に先駆けて必要なデータインフラ (個人識別情報のマスキング、トークン化、アクセス制御、プロンプトレベルの監査ログなど) を構築することが、企業・組織にとって先駆者優位の機会になると指摘しています。
最高情報セキュリティ責任者 (CISO) および最高情報責任者 (CIO) への提言
結論として、両調査ともセキュリティおよびテクノロジーのリーダーに向けて、各業界に共通する5つの優先行動を推奨しています:
- 競争上の根拠を用いてAI導入の妥当性を示す: 「何が問題になるか」という論点から、「導入しないことで何を犠牲にしているか」という論点へと転換することが大切です。
- データの境界線を定義する: 最も価値が高く、かつリスクの高い分野、すなわち製造業におけるプラント運用やエンジニアリング、金融業界における顧客対応チャネルにAIを展開する前に、どのデータをAIパイプラインに投入できるか、できないかを明確に定義付けする。
- 承認済みのAIツールを提供し、技術的に利用を制御する: 従業員に承認済みのAIツールを提供し、ポリシーだけでなく、DLP、プロンプトのログ記録、コンテンツ フィルタリング、ロールベースのアクセス制御といった技術的対策を通じて利用を徹底させる。
- AIに特化したセキュリティ機能を構築する: 既存システムの置き換えでなく、WAFおよびAPIインフラストラクチャの上に、一元的なポリシー管理、ゼロトラストアクセス、監査証跡などを、追加機能として構築する。
- 専用のAIセキュリティ予算を設定する: 次の拡張フェーズに移行する前に、AI専用のセキュリティ予算を確保する。明確な使用事例、定量化されたROI、監視のベースラインを、事後対応でなく、大前提として定めておく。
調査では、次のように述べられています。「両業界とも、ガバナンスはその役割を果たしてきました。次のステップで必要とされるのは、それに見合ったセキュリティ体制に裏打ちされたリーダーの確固たる信念です」。
本調査について
「The Intelligent Factory:日本の製造業における信頼できるAIの構築 (Japan's Manufacturers Are Building AI They Trust)」 日本国内の製造業のテクノロジーおよびセキュリティ部門のシニアエグゼクティブを対象に実施
「The Trusted Bank:日本の金融業界が、いかにAIを導入し、顧客に信頼と安心を築くかか (How Japan's Banking and Financial Services Sector Is Adopting AI to Build Trust and Customer Confidence)」 日本国内の銀行をはじめとする金融業のテクノロジーおよびセキュリティ部門のシニアエグゼクティブを対象に実施
2026年4月、世界的な調査・コンサルティング企業である Twimbit 社が、F5の委託を受けて調査・分析を行いました。
調査結果の全文は下記リンクよりダウンロードください:
The Intelligent Factory(製造業) https://www.f5.com/ja_jp/go/white-paper/the-intelligent-factory-ai
The Trusted Bank(金融業) https://www.f5.com/ja_jp/go/white-paper/the-trusted-bank-ai
F5について
F5はあらゆるアプリケーションのデリバリーとセキュリティを担うグローバルリーダーです。30年にわたる事業で培った専門知識を基盤に、F5は業界最高峰のプラットフォームであるF5 Application Delivery and Security Platform(ADSP)を構築し、オンプレミス、クラウド、エッジ、ハイブリッド、マルチクラウドの環境を問わず、あらゆるアプリとAPIをデリバリーし、セキュリティを担保しています。 F5 は革新を続け、世界最大かつ最先端の組織と提携して、高速で可用性が高く安全なデジタルエクスペリエンスを提供することに注力しており、企業・組織のお客様の成長を支援し、より良いデジタル世界を実現します。