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iSeriesのサプライチェーン遅延を回避する:BIG-IP Virtual Editionに切り換えるべき5つの理由

Tom Atkins サムネール
Tom Atkins
Published March 15, 2022

デジタル トランスフォーメーションへの取り組みが加速し、競争力のある差別化を図りたいと願うアプリケーション チームには、これまで以上に迅速にアプリケーションを市場に投入しなければならないというプレッシャーが強まっています。現在ではスピードが重視される一方で、世界的な半導体不足によるコンポーネントのリード タイムの長期化がIT組織の足かせとなっており、開発者の不満は募るばかりです。

最近まで、F5は、堅実なサプライ チェーン管理のおかげで比較的痛手を受けていませんでしたが、物理アプライアンスに対する強い需要と未だに続くチップ不足により、BIG-IP iSeriesプラットフォームの納期が延期され始めています。幸いなことに、グローバルなサプライ チェーンに翻弄されることなく、アプリケーションの導入スケジュールを迅速化できる代替ソリューションのBIG-IP Virtual Edition(VE)が存在します。時間的に余裕のないプロジェクトのためにiSeriesの購入を現在検討していて、リード タイムに懸念がある場合は、代わりにBIG-IP VEに移行するべき5つの理由についてご検討ください。

完全な使用事例と機能の同等性

データ センタの図
iSeriesのアプリケーション サービスとポリシーをBIG-IP Virtual Editionに複製

BIG-IP VEは、iSeriesアプライアンスおよび他のすべてのBIG-IPプラットフォームで動作する同一のソフトウェア(BIG-IP TMOS)で構成されており、フォーム ファクタ全体でまったく同じ一連の使用事例と機能を使用することができます。BIG-IP VEは、高度なアプリケーション セキュリティやアクセス制御からインテリジェントなローカルおよびグローバル トラフィック管理まで、あらゆる使用事例でiSeriesの代用となる機能を提供します。この統一性の別の利点は、構成とポリシーをインスタンス間で簡単に複製できることです。これは、既存のBIG-IPフリートを拡張、更新、または移行する場合に特に有用です。例えば、パブリック クラウド インフラストラクチャの採用を含む戦略では、BIG-IP VEに移行することで、使い慣れた同じアプリケーション サービスを再利用でき、新しいプラットフォーム固有のツールを習得する必要がなくなります。

匹敵するパフォーマンス

COTS(Common-off-the-Shelf)サーバーで実行されるBIG-IP Virtual Editionは、専用ハードウェアと同等のパフォーマンス レベルに達することができないという誤解が未だに残っています。数年前まではそうであったかもしれませんが、現在ではそのようなことはありません。実際に、適切な条件下では、1つのBIG-IP VEインスタンスが100 Gbpsを超えるNorthアプリケーション トラフィックを処理できるようになり、最高性能のBIG-IPアプライアンスを除くすべてのアプライアンスに匹敵するようになりました。これは、次のようないくつかのBIG-IP VEの開発および統合によって可能になりました。

  • 高性能なBIG-IP VEの可用性 – スループット制限のないスロットルなしのVEインスタンスで、インスタンスを駆動できるvCPUの数によってのみ上限が設定されます。
  • SR-IOVを最適化するカスタムNICドライバ – 高性能ネットワーク インターフェイス カード(NIC)用に特別に開発されたVEドライバで、シングル ルートI/O仮想化(SR-IOV)使用時のパフォーマンスを大幅に向上させることができます。
  • ハードウェア オフロード アクセラレータ – COTSサーバーと互換性のある高性能コンポーネント(Intel QATおよびIntel SmartNIC)との統合により、暗号処理、DDoS対策、CGNATなどの計算負荷の高い機能のオフロードに使用できます。

すぐには信じられない場合は、BIG-IP VEデータシートを読んで、現在のBIG-IP VEが実現できるパフォーマンスに関するインサイトを得るか、BIG-IP VEで行われたパフォーマンス強化の詳細を説明したこちらのブログをご覧ください。

調達の迅速化と柔軟なライセンス対応

物理アプライアンスとは異なり、BIG-IP VEのライセンスには、サプライ チェーン、製造、または出荷に関連する依存関係がありません。つまり、VEは購入したその日に運用を開始できるため、導入のタイムラインを数週間から数時間に短縮することができます。さらに一歩進んで、F5のフレキシブル消費プログラム(FCP)または従量課金制(PAYG)ライセンス モデルで使用される場合、この時間は数分にまで短縮されます。これらのライセンス モデルは、セルフサービスでのライセンス調達を可能にするため、F5の販売担当員に依頼する必要はありません。必要なVEライセンスを必要なときに取得できます。

「でも、BIG-IP VEの実行に必要なインフラストラクチャがない場合はどうすればいいのですか?」という声が聞こえてきそうです。結局のところ、サーバー ベンダーも同じようなサプライ チェーンの課題を多く抱えており、その結果、リード タイムが目まぐるしく変化しているのです。幸いなことに、ITポリシーとアーキテクチャが対応していれば、次に説明するように、世界中のパブリック クラウドやコロケーション施設にある何千台もの余剰サーバーにVEを簡単に導入できます。

Distributed Cloudの自由度

大半の組織のクラウド戦略は常に流動的であり、可能な限り移行可能で環境にとらわれないソリューションを標準化して将来の投資を保護することが重要となります。クラウドを完全に導入している組織でも、まだクラウドを採用していない組織でも、BIG-IP VEに切り替えることで、今後は比類のない分散型クラウドの自由度を得ることができます。BIG-IP VEは、市販の仮想アプリケーション デリバリ コントローラ(vADC)の中で最も幅広いサポート対象のパブリック クラウドおよびプライベート クラウドを誇り、ほぼすべての環境に再現性のあるアーキテクチャで導入でき、一貫したアプリケーション サービス セットを提供することが可能です。BIG-IP VEを使用すれば、開発者が次のアプリケーションの構築や最善のユーザー エクスペリエンスの実現に最適なクラウドを決定する場合でも、ワークロードが依存する高度なアプリケーション サービスを迅速かつ容易に実装できます。

F5のコロケーション パートナーのネットワークは、サポートされている多くのクラウド環境以外にも広く広がっているため、サーバー ベンダーの遅延を軽減し、グローバルに素早く利用できるインフラストラクチャにBIG-IP VEを迅速に導入することができます。例えば、BIG-IP VEは何千ものEquinix Metalインスタンス(サービスとして利用可能なEquinixの専用ベアメタル インスタンス)上で1時間以内にスピンアップでき、Equinixの低遅延かつ高性能なネットワークを活用しながら導入スケジュールを短縮できます。こちらのデモでは、BIG-IP VEをEquinix Metalインフラストラクチャでいかに迅速に導入できるかをご覧いただけます。

シンプルな移行

F5のJourneys Migration Utilityの導入以来、既存のBIG-IPアプライアンスからBIG-IP VEへの移行がこれまで以上に簡単になりました。無料かつオープンソースで、F5のDevCentral GitHubリポジトリですぐに入手できるF5のJourneysツールは、既存のBIG-IPインスタンスの構成ファイルを、導入されるBIG-IP VEと互換性のあるファイルに変換することで移行を効率化できます。このツールは、設定を手動で移行する手間を省くだけでなく、移行にかかる時間を大幅に短縮するため、導入にかかる時間をさらに短縮できます。今後のブログで、Journeysツールの仕組みや利用方法について詳しく説明しますので、ご期待ください。

結論として、BIG-IP Virtual Editionは、ほとんどの場合においてiSeriesの代替品と見なすことができ、同等の機能セット、同等のパフォーマンス、および導入の自由度の向上を実現します。BIG-IP iSeriesアプライアンスの納品に依存するスピード重視のプロジェクトがある場合は、BIG-IP Virtual Editionがどのようにお客様の要件をよりタイムリーに満たすことができるかについて、F5のアカウント マネージャーまたはF5の販売担当員までお問い合わせください。

まとめ

BIG-IP Virtual Editionは、ほとんどの場合においてiSeriesの代替品と見なすことができ、同等の機能セット、同等のパフォーマンス、および導入の自由度の向上を実現します。BIG-IP iSeriesアプライアンスの納品に依存するスピード重視のプロジェクトがある場合は、BIG-IP Virtual Editionがどのようにお客様の要件をよりタイムリーに満たすことができるかについて、F5のアカウント マネージャーまたはF5の販売担当員までお問い合わせください。