相互接続がますます進むデジタル環境において、堅牢なサイバーセキュリティ対策の重要性はいくら強調してもしすぎることはありません。こうした認識のもと、NIST Cybersecurity Framework(CSF)は2014年に策定され、さまざまな分野でサイバーセキュリティリスクを抑制するための重要なツールとして活用されてきました。多くの組織からNISTに対し、CSF 1.1はサイバーセキュリティリスクへの対処に有効な手段であるとの意見が寄せられています。一方で、今後のサイバーセキュリティ上の課題に対応し、組織が円滑に導入できるようにするには、Frameworkの進化が不可欠であるという点でも意見が一致しています。NISTはコミュニティと緊密に連携し、Framework本来の目的と目標の中核を維持しながら、将来にわたる有効性を実現するCSF 2.0の策定に精力的に取り組んでいます。
NIST Cybersecurity Framework 2.0とは何か、何ではないのか
NIST Cybersecurity Framework 2.0は、組織が自らのサイバーセキュリティ環境を把握するだけでなく、サイバーセキュリティに関する取り組みを効果的に評価し、優先順位を付け、明確に説明するうえで、極めて有用なツールです。このフレームワークは、厳格な指示書とは異なり、こうした成果を達成するための具体的な方法を規定するものではありません。代わりに戦略的なハブとして機能し、推奨されるプラクティスや管理策について補足的なガイダンスを提供するさまざまなリソースと組織を結び付けます。
Cybersecurity Framework 2.0ドラフトの構成要素をさらに掘り下げ、バージョン1.1からの変更案の一部を解説するとともに、デジタル防御の強化に向けた多面的なアプローチを明らかにします。
具体的な変更点
NIST CSF 1.1から2.0への変更点のうち、特に注目すべき5つは次のとおりです。
- サイバーセキュリティフレームワークの名称と適用範囲の変遷 – 広く知られるサイバーセキュリティフレームワークは、その幅広い有用性を反映して大幅に強化されました。名称が「重要インフラのサイバーセキュリティを改善するためのフレームワーク」から「サイバーセキュリティフレームワーク」に変更され、より認識しやすくなりました。当初は重要インフラに重点を置いていましたが、現在ではすべての組織が適用対象となっています。この変遷は、同フレームワークが世界的に重要であることを示すものであり、重点も米国の重要インフラから世界中の組織へと広がっています。こうした変更は、同フレームワークの適応性と、多様なサイバーセキュリティニーズに対応できる能力を明確に示しており、規模や状況の異なる組織にとって柔軟に活用できるツールとしての位置付けを改めて確立しています。
- CSFと新たなリソースとの連携 – CSFはその枠を超えて進化し、他の重要なフレームワークやリソースとの連携を強化しています。NISTによる綿密なレビューを受けてNIST CSFが改訂され、NIST Privacy Framework、NICE Workforce Framework for Cybersecurity、Secure Software Development Frameworkなど、最新のツールへの参照が追加されました。
- CSF導入支援の強化 – CSFの進化に伴い、CSFサブカテゴリーの達成に向けた行動指向のプロセスを具体的に示す導入例が追加されるなど、効果的な導入に向けた支援が強化されています。こうした戦略的な拡充により、CSFは理論的な枠組みを超え、実環境での効果を高める実践的なツールを提供します。導入ガイダンスの強化により、CSFは複雑なサイバーセキュリティ環境に対応するうえで不可欠な資産としての役割をさらに確かなものにしています。
- サイバーセキュリティガバナンスの強化:フレームワークの重点を拡充 – CSFの進化は、サイバーセキュリティガバナンスが果たす重要な役割を明確に示しています。新たに「Govern」機能を導入し、包括的なアプローチを採用しています。対象となるのは、組織の状況、リスク管理戦略、サイバーセキュリティのサプライチェーンリスク、役割と責任、ポリシー、プロセス、監督など、多岐にわたります。
組織がサイバーセキュリティを包括的に統合できるよう、フレームワークでは、NIST Privacy Frameworkとの整合や、NIST IR 8286に詳述されているエンタープライズリスク管理との連携に関する知見を提供するようになりました。特に、フレームワークの実装全体を通じて、人、プロセス、テクノロジーが一層重視されています。
ガバナンスへの注力を強めることで、サイバーセキュリティ分野におけるCSFの重要性が高まり、デジタル防御の強化を目指す組織にとって、汎用性と包括性を備えたツールとしての位置付けが確立されています。 - サイバーセキュリティサプライチェーンのレジリエンスを強化 – CSFの進化により、サイバーセキュリティサプライチェーンリスク管理が極めて重要であることが明確になりました。「Govern」に専用カテゴリーが導入され、フレームワークはこの課題に確固たる姿勢で取り組んでいます。
今回の更新は、最新のNISTガイダンスと現在のベストプラクティスに準拠するという方針に基づくものです。特にCSFは、サイバーセキュリティサプライチェーンリスク管理とセキュアなソフトウェア開発を対象に取り入れ、デジタルエコシステムの保護に向けたプロアクティブなアプローチを示しています。
こうした将来を見据えた重点化により、進化する脅威環境に対するフレームワークの適応力がさらに高まります。複雑なサプライチェーン環境において、サイバーセキュリティ態勢とレジリエンスの強化を目指す組織にとって、非常に有用なツールとなります。
この最新のCSFドラフトは重要な節目となります。NISTが意見募集のために次のバージョンを公開する予定はないため、皆さまからのご意見が、2024年初頭に公開予定の最終版CSF 2.0に直接反映されます。2023年11月4日(金)までに、cyberframework@nist.govまでご意見をお寄せください。
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