継続的デリバリーは、DevOpsを導入する組織にとって最終目標の一歩手前にあたります。最終目標ではありません。最終目標は継続的デプロイメントだからです。
DevOpsの世界では、本番環境に対応できるソフトウェアを1日に何度もデリバリーする能力が盛んに取り沙汰されています。
それは素晴らしいことです。
それを聞いてもあまり期待が膨らまないのは、DevOpsを導入している企業でさえ、大半のエンタープライズ組織では、デリバリーはアプリケーションライフサイクルにおける「市場投入」フェーズの最初の一歩にすぎないからです。最終ビルドとリリースの通知を受けた時点で、ユーザーが利用できる「準備が整っている」アプリケーションはほとんどありません。その後も本番環境にデプロイし、さまざまな手順とポリシーに従って、ユーザーに適切に提供できるようにする必要があります。
つまり、継続的デプロイメントは、DevOpsを採用する組織にとって究極の目標です(そうあるべきかもしれませんし、そうなる可能性も、いずれそうなることもあります)。たとえそうでなくても、より重要なのは、単に本番環境へデリバリーしただけでは、利用者にアプリケーションを「届けた」ことにはならないという点です。企業ユーザーと一般消費者の双方に最適なアプリケーションエクスペリエンスを提供するには、本番環境へのデプロイに加え、アプリケーションの拡張性、セキュリティ、速度の向上に必要な各種サービスも導入する必要があります。

それには、拡張性と可用性を確保するための負荷分散が含まれる場合があります。また、ほぼ確実にセキュリティも必要です。少なくともファイアウォール、できればアプリケーションセキュリティ、場合によってはそれ以上の対策が求められます。さらに、アクセス管理やアイデンティティ管理が必要になる可能性もあります。一般消費者向けアプリでは不要かもしれませんが、社内向けアプリでは、円滑で手間のかからないアクセスを実現するために、SSOやフェデレーションポリシーの対象に含める必要がある場合があります。加えて、パフォーマンス面での速度も求められる可能性があります。
アプリがユーザーにとって「利用可能」になるには、その前にこれらすべてを実現する必要があります。そして、「本番環境」の担当者はそのことを理解しています。F5の『2017 State of Application Delivery』調査で「これらのサービスを1~10個導入している」と回答した32%のうち、大半は「5個超」に該当し、63%が現在6~10個を導入していると回答しました。
「継続的デプロイ」に関する問題の有無にかかわらず、アプリを単に「本番環境への移行準備が整った」状態ではなく、「ユーザーが利用できる」状態にするうえで、これらのサービスは不可欠です。
本番環境へ何度もデリバリーできるのは素晴らしいことですが、真の目標は市場へのデリバリー頻度を高めることです。DevOpsが本番環境にも踏み込み(さあ、どうぞ!本当に心配はいりません!)、アプリとそれに直接関係するインフラストラクチャを扱うようになったとしても、アプリが実際に「デリバリーされた」と見なされるまでには、上流にプロビジョニング、構成、テストが必要なサービスが依然として存在します。
アプリを本番環境にリリースする頻度を上げても、実際にはデプロイのスケジュールには影響しません。オープンソースプロジェクトに「stable」ブランチと「nightly build」という選択肢があるのには理由があります。確かに最新かつ高機能なバージョンを入手できますが、ユーザーとしては「stable」を選びたいところです。アプリが動作しなくなったり、突然クラッシュしたりしても、優れたアプリケーションエクスペリエンスにはまったくつながらないからです。
デプロイのスケジュールは、ビジネス部門が主導し、IT部門が実行する必要があります。そのためには、IT部門(4つの運用チームすべて)が足並みをそろえ、プロセスを可能な限り自動化していかなければなりません。アプリは、本番環境で周囲のサービスによって保護され、高速化されて初めて、ユーザーが利用できる状態になるからです。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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