データセンターの主張:「まだ終わってはいない!」

F5エコシステム | 2019年9月09日

Monty Pythonのファンなら、「まだ死んでないぞ!」というセリフが、名作(迷作)『Monty Python and the Holy Grail』に由来することにすぐ気づくでしょう。ある場面では、1人の男が、別の男は死んでいる、あるいはもうすぐ死ぬと言い張ります。「瀕死」とされる男は、自分はまだ死んでいないと激しく反論します。それどころか、いたって元気だと言うのです。

この場面は、「データセンターは死んだ、少なくとも死の床にある」という予測をかなり的確に描いています。クラウドが業界の大半の関心を集めるようになって以来、この主張は何度も繰り返されてきました。しかし、今なお間違ったままです。

この誤った予測が生まれた理由の1つは、SaaSとIaaSが意図的に混同されたことです。SaaSは、パッケージソフトウェアが「構築」から「購入」、そして「サブスクリプション」へと必然的に進化したものです。「クラウド」と呼ばれる以前は、アプリケーションサービスプロバイダー(ASP)がホスティングしていました。当初、実質的に変わったのは呼び名だけでした。SaaSが主に、実質的にはPaaSであるサービスへと拡張することで、いかに「クラウド」の名にふさわしいものへと成長したかについては議論の余地があります。しかし初期のSaaSには、クラウドと呼べる要素はほとんどありませんでした。

SaaSの導入をIaaSと一括りにしたことで、「クラウド」がITを侵食しているという憶測が広がりました。SaaSをIaaSと合わせて扱った結果、クラウドの普及率に対する期待が過度に膨らみました。専門家は、データセンターが消滅すると警告しました。もはや誰も自社のデータセンター設備の拡張に投資しなくなるとも予測されました。クラウドに全面移行するか、さもなくば破綻するか、という論調でした。

しかし現実には、データセンター施設は今も稼働しています。世界中の企業が現在もデータセンターを建設、拡張、運用しています。クラウドはデータセンターを消滅させるには至っておらず、おそらく今後もそうなることはないでしょう。

これは、Uptime Instituteが実施した最新のデータセンター調査で示された結論です。同調査では、「大規模な民間所有の企業データセンター施設は、依然として企業ITの基盤であり、2021年には全ワークロードの半数を稼働させると予想される」としています。一方、クラウドについては、「2021年までに、全ワークロードの約3分の1が、クラウド、コロケーション、ホスティング、Software as a Service(SaaS)の各プロバイダーに委託される見込み」としています。

これは、F5が実施した2019年アプリケーションサービスの現状の調査結果とも一致しています。現在、回答者の約半数(46%)は、パブリック(IaaS)クラウドで運用しているアプリケーションが25%未満です。約3分の1(31%)は、プライベートクラウドモデルを採用し、ワークロードの半数超をオンプレミスで運用しています。コロケーションもパブリック(IaaS)クラウドを上回っており、回答者の16%がワークロードの半数超をコロケーションデータセンターで運用しています。一方、ワークロードの半数超をパブリック(IaaS)クラウドで運用していると回答したのは、わずか3%でした。

公平を期すために付け加えると、回答者の7%は、ワークロードの半分以上をプライベート(オフプレミス)クラウドで運用していました。そのため、技術的にはパブリック(IaaS)クラウドを利用しつつ、騒がしい(あるいは詮索好きな)隣人の影響を避けるために隔離している可能性があります。

それでも、クラウド黎明期の予測と比べると、この数字は低調です。さらに、近い将来には一段と減少する可能性があります。

2019年初頭、IDCの幹部はIGEL Disruptカンファレンスでチャネルパートナーに対し、「同調査会社の調査対象企業の80%以上がパブリッククラウドのワークロードを自社環境に戻すことを見込んでおり、それらのワークロードの50%が自社環境に戻される可能性がある」と述べました。

この決定の要因は多岐にわたり、よく挙げられるセキュリティ、可視性、パフォーマンスなどがあります。クラウドからの回帰を可能にする要因としては、マルチクラウド運用ツールの可用性向上や、コンテナなどの移植性に優れたテクノロジーを活用するアプリケーションアーキテクチャへの移行が進んでいることが挙げられます。コンテナ化された(クラウドネイティブ)アプリケーションは、クラウド間で比較的容易に移行できます。そのため組織は、アプリケーションとその要件に重点を置き、最適な運用環境を柔軟に判断できます。

コンテナ化とクラウドネイティブアーキテクチャも、かつてはパブリッククラウドでしか得られなかった効率性を実現します。パブリッククラウドの伸縮性とリソース使用量を柔軟に変えられる特性により、アプリケーションをはるかに効率よく運用できるようになりました。現在ではコンテナ化によって同様の効率性が得られます。これが、このテクノロジーを利用するアーキテクチャが広く普及し、アプリケーション開発の主流になりつつある理由と考えられます。クラウドネイティブ/コンテナ化されたアプリケーションなら、データセンター内にとどまりながら同じメリットを得られるためです。

現実には、データセンターは今も健在であり、今後もその状況は変わりません。

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タグ: 2019

著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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