IT担当者は、実践を重視する傾向があります。文化変革としてのDevOpsは、アプリを本番環境にデプロイし、その可用性、セキュリティ、パフォーマンスを維持する担当者にとって、十分に具体的ではないことが少なくありません。しかし現実には、グループ間およびグループ内のサイロを解消するという文化的な変革を、必ず実現しなければならず、しかも早急に取り組む必要があります。
これは、新たなトレンドやアーキテクチャがネットワークに及ぼす影響について、特に当てはまります。
ネットワーク分野のリーダーや実務担当者の多くは、変化するアプリケーションアーキテクチャの動向にそれほど注意を払っていません。たとえば、APIやマイクロサービスへの移行について、ネットワークの世界で実際に話題にすることはほとんどありません。せいぜい、自社のインフラにもAPIがあるという話くらいです。SDN(またはSDDC)だから、というわけです。
しかし、ネットワーク分野のリーダーや実務担当者は、こうした変化と、それがネットワークや、要求の厳しい消費者や同僚へのアプリケーション配信にどのような影響を及ぼすかを認識する必要があります。影響があるかどうかではなく、必ず影響するからです。一見、アプリケーションアーキテクチャだけに関わるような決定でも、ネットワークアーキテクチャだけでなく、ネットワークのパフォーマンスや要件にも大きな影響を及ぼすことがあります。たとえば、マルチテナント型とシングルテナント型のどちらのマイクロサービスを採用するかという決定は、セキュリティから基本的なルーティングやスイッチングに至るまで、ネットワークサービスに大きく影響します。マイクロサービスと組み合わせてHTTP/2またはHTTP/1を使用するというアーキテクチャ上の決定を認識していないと、ネットワークに重大な問題が生じ、パフォーマンスが低下する可能性があります。
開発者の間では、自らが設計するアーキテクチャが担当領域の内外に及ぼす影響への認識が高まっています。高度に分散されたアプリケーションアーキテクチャでは、サービスレイテンシ(2つのサービスがネットワーク経由で通信するのにかかる時間)が広く認識されている課題です。一方、こうした環境がパフォーマンス(およびレジリエンス)に及ぼす悪影響の軽減に、ネットワーク(およびそのサービススタック)がどのように役立つかについては、開発者に十分認識されていません。
それこそが、ネットワーク担当者の知見です。
問題は、途方もない数のマイクロサービスが本番環境に投入される段階になるまで、ネットワーク担当者が関与しないことです。事前に相談されていないため、その段階で提案を行うと、サービスやアプリケーションに大幅な手戻りが生じる可能性があります。スケーラビリティをアプリケーション内部ではなくネットワーク側で確保するという単純な変更でさえ、悪夢のような作業になります。しかし、ネットワークのスケーラビリティを考慮してサービスを設計していれば、作業は円滑に進むはずです。
しかし、実際にはそうした設計になっていませんでした。そして、アプリをより迅速にリリースするようプレッシャーを感じている経営幹部のうち、10人中9人はどうでしょうか。相互に接続し、関連し、依存し合う膨大な数のサービスを提供するには、ネットワークに必要な変更を加える時間がかかるため、さらに大きなプレッシャーを感じています。

ITには、インフラストラクチャ、ネットワーク、ストレージ、セキュリティという4つの運用領域があります。これら4つのサイロ(中世風の比喩を好むなら「塔」)は、開発サイクルの早い段階から連携とコミュニケーションを促進できるよう、互いの間に橋を架ける必要があります。アーキテクチャの選択に関する連携は、設計段階で行うべきであり、デプロイ段階ではありません。また、新しいテクノロジーやアーキテクチャが検討されていることを把握できるよう、各組織を横断的に見渡せるリーダーが、その連携を主導する必要がある場合もあります。
DevOpsは単なる自動化ではありません。自動化は、目標を達成するためのツールであり手法です。アプリのデプロイと提供に必要なサービスを導入する担当者の負担軽減において、自動化は大きな役割を果たす可能性があります。これにより、4つの運用領域すべての専門家が、組織間でより緊密に連携し、情報を共有できるようになります。その結果、成長を続けるアプリ経済の中核を担うアプリケーションの拡張性、パフォーマンス、セキュリティの向上につながります。
ビジネスの成功と成長には、ITの現場だけでなく、リーダー層における部門横断的な連携が欠かせません。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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