主流化するマイクロサービス、その普及とともに増す課題

F5エコシステム | 2018年7月02日

ほんの数年前まで、マイクロサービスは、誕生間もないアプリケーションアーキテクチャがもたらす可能性と機会に胸を躍らせる開発者たちの間で話題となっていた、目新しい存在でした。

今では、ネットワークに携わる私たちの間でもマイクロサービスが話題になっています。それは、Lightstepの最新調査が示すように、マイクロサービスが企業でほぼ主流になったためです。本当です。F5の2018年版アプリケーションデリバリの現状レポートでは、ネットワーク関連の職務に就く回答者でさえ、アプリケーションサービスをコンテナで提供することを望んでいました。したがって、前述のLightstepの調査で、回答者の91%がマイクロサービスを利用中または利用予定であるだけでなく、86%が5年以内にマイクロサービスが標準になると予想していることも、驚くにはあたりません。

だからといって、課題がないわけではありません。実際、Lightstepの調査では、回答者の99%がマイクロサービスの利用時に課題があると回答しています。これらの回答から、マイクロサービスではほぼあらゆることが難しくなり、場合によってはコストも高くなると考えてよいでしょう。

この調査では、ログ集約コストの上昇(21%)、増加するデータの活用方法がわからないこと(17%)、問題のトラブルシューティングが困難であること(73%)など、ビジネス面と運用面の両方における課題が指摘されました。

しかし、さらに懸念されるのは、「マイクロサービス環境で問題の根本原因の特定に課題を抱える回答者の98%が、ビジネスに直接的な影響があると報告している」という調査結果です。

これは、ほかでも指摘されている主要な課題の1つです。ネットワーク側の立場では通常「可視性」、DevOps側では「オブザーバビリティ」という用語が使われます。

どちらも本質的には、メッセージがクライアントからサービスへ、そしてクライアントへ戻るまでネットワークを通過する際に、何が起きているかを把握できるという同じ機能を指します。コンテナ環境内では、関連するサービスの範囲と規模が大きいため、これは特に困難です。

従来の3層Webアプリでは、3組のログと3つのシステムを追跡する必要があります。一方、マイクロサービスアーキテクチャでは、Webクライアントとモバイルクライアントの両方から利用される可能性のあるAPIがフロントエンドとなることが多く、追跡対象のサービスが数十、場合によっては数百に及ぶことがあります。

スケーリングモデル自体は変わらず、クローンによって水平方向にスケールアウトしますが、コンテナ環境ではその規模が大幅に拡大します。10個ではなく100個の穴を相手にモグラたたきをするようなものです。個々のトランザクションがたどった経路を特定するのは、控えめに言っても困難です。特に、その経路がすでに消失している可能性もあります。そもそも、多くのコンテナ環境は、手動介入を待つのではなく、早期に障害を検出してインスタンスを置き換えることを前提としています。

この課題に対処する方法はいくつかあります。何よりも重要なのは、トレースとトラブルシューティングを支援する計測機能です。このアプローチ自体は新しいものではありませんが、コンテナ環境は変動が激しいため、実装はより困難になります。それでも、一意の識別子を含むカスタムHTTPヘッダーなどのトレース要素を挿入することで、エラーやパフォーマンス上の問題を追跡する際に、運用担当者は大きなメリットを得られます。通常、コンテナのネイティブなスケーリング機能には含まれませんが、これはサービスメッシュが対応を進めている機能の1つです。

2つ目は、問題が発生しているマイクロサービスを隔離し、運用担当者と開発担当者が障害発生時の状態のままシステムを調査できるようにする機能です。隔離では基本的に、問題のあるコンテナを稼働環境から切り離して呼び出しが送信されないようにする一方、分析と調査のためにコンテナ自体は稼働させたままにします。

魔法のような解決策はありませんが、マイクロサービスベースのデプロイメントでコンテナを追跡し、隔離できれば、平均解決時間(MTTR)の短縮とビジネスへの影響軽減に大きく貢献します。

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タグ: 2018

著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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