迅速な対応と柔軟な制御を実現するプログラマビリティの力

F5エコシステム | 2025年6月17日

今年の「State of Application Strategy Report」から明らかなことがあるとすれば、データプレーンのプログラマビリティはもはや贅沢な機能ではなく、最新のアプリケーションデリバリとセキュリティに不可欠だということです。

静的な事前構成済みシステムだけで、変化し続けるアプリケーションのニーズに対応できる時代は終わりました。データによると、組織は受信リクエストの処理から送信トラフィックの変更まで幅広く対応するために、プログラム可能なデータプレーンを採用しており、その実装には使い慣れた言語を使用したいと考えています。

詳しく見ていきましょう。

データプレーンのプログラマビリティとは

まず、ここで扱う内容について認識を合わせておきましょう。

データプレーンのプログラマビリティとは、ネットワークトラフィックをリアルタイムで処理、検査、保護する方法をカスタマイズして制御できる機能です。カスタムロジックと自動化により、新たな脅威への迅速な適応、動的ルーティング、アプリケーションデリバリの強化が可能になります。

たとえば、データプレーンのプログラマビリティを使用して、可観測性(トレース)を実現するHTTPヘッダーを挿入し、悪意のあるコンテンツをスキャンしたり、「悪質なボット」を特定したりできます。十分に堅牢な実装であれば、データプレーンのプログラマビリティをカスタムサービスおよびオーケストレーションツールとして機能させ、リクエストのコンテンツに基づいて適切な宛先にリクエストをルーティングできます。

データプレーンのプログラマビリティで実現できることに文字どおり制限はありません。そこで、業界が何を重視しているのかを把握するため、一般的なユースケースと機能について尋ねました。

プログラマビリティ:優先事項と課題

組織を対象に、さまざまなプログラマブル機能について、インバウンドトラフィックとアウトバウンドトラフィックにおける重要度を評価してもらいました。その結果は次のとおりです。

ゼロデイ攻撃の緩和に関するグラフ

回答者は、データプレーンのプログラマビリティにおいて、ゼロデイ攻撃の緩和を最も重要な機能と評価し、サービスチェイニングとヘッダーインジェクションが僅差で続きました。

インバウンドトラフィックにおいて最も重要なプログラマブル機能は次のとおりです。

  • ゼロデイ脅威の緩和(51%)
  • サービスチェイニング(40%)
  • ヘッダーインジェクション(33%)
  • 動的なアプリ/APIルーティング(31%)

組織がエッジで明確に優先しているのは、セキュリティと制御です。脅威を緩和し、パフォーマンスと保護のためにトラフィックを動的にルーティングしています。

アウトバウンド側で上位に挙げられた機能は次のとおりです。

  • データ損失防止(DLP)(38%)
  • ヘッダーインジェクション(37%)
  • プロトコル変換(35%)
  • サービスチェイニング(30%)

データ保護がここでは中心的な役割を担い、なかでもDLPが主導的な位置を占めています。アプリケーションによる外部サービスやAPIへの依存が高まるなか、機密データの漏えいや不適切な取り扱いを防ぐことは極めて重要です。

データから明らかなことが1つあります。データプレーンのプログラマビリティは、セキュリティ対策に欠かせない重要なツールです。

インバウンドトラフィックではゼロデイ脅威の緩和が、アウトバウンドトラフィックではデータ損失防止が最優先事項です。どちらも当然の結果です。ゼロデイ脆弱性は、実際に悪用されるまで存在が知られないため、特に危険な脆弱性の1つです。また、データ漏えいは極めて大きな損失をもたらし、組織の評判を何年にもわたって損なう可能性があります。

問題はここにあります。AIや機械学習などの新興テクノロジーには大きな期待が寄せられる一方で、新たなリスクも生じます。たとえば、AIモデルは、プロンプトインジェクション攻撃、敵対的サンプル、データ操作の標的となる可能性があります。従来のセキュリティ対策は、こうした脅威の検知を想定して設計されていません。

そこで大きな変革をもたらすのが、データプレーンのプログラマビリティです。プログラム可能なデータプレーンにより、組織は次のことが可能になります。

  • カスタムのセキュリティ緩和策を迅速に導入し、脅威が特定された時点で即座に適用できます。
  • 即座に適応し、ベンダーのアップデートを待つことなく、AI駆動型サービスによって生じる新たなトラフィックパターンを保護します。

この柔軟性により、組織は新たな脆弱性に不意を突かれることを懸念せず、新興テクノロジーを安心して導入できます。ゼロデイエクスプロイトが出現した場合、プログラマブルデータプレーンを活用することで、セキュリティチームはカスタムの緩和策を数週間ではなく数時間で作成、テスト、導入できます。

進化する脅威に迅速に対応できるからこそ、早期導入企業は攻撃者の先手を取り、セキュリティを維持しながらイノベーションのメリットを引き出せます。プログラマビリティを取り入れる組織は、最新テクノロジーの導入において、追随するのではなく先導する立場に立てます。

重要なプログラミング言語

適切なツールがなければ、プログラマブルなデータプレーンを十分に活用できません。組織に対し、プログラマビリティに使用する言語の上位2つを尋ねたところ、次の結果が得られました。

  • Python(62.77%)は、そのシンプルさと豊富なライブラリで知られ、最も多く選ばれています。
  • Java(48.25%)とJavaScript/Node.js(24.71%)がこれに続き、スケーラビリティとリアルタイム処理能力へのニーズを反映しています。
  • Go(23.71%)とRust(10.35%)は、特にパフォーマンスが重視される環境で採用が広がっています。

興味深いことに、Lua(11.69%)はニッチながらも有力な選択肢であり、組み込み環境に適した軽量性がその理由と考えられます。

ここで興味深いのは、Pythonが運用との親和性が非常に高い一方、JavaとJavaScriptはDevOpsの領域で使われる可能性がはるかに高いことです。これは、データプレーンのプログラマビリティが両者の隔たりを埋めることを示しています。特に、コードが頻繁に(たとえば1日に1回以上)リリースされ、運用担当者と同様に開発者も本番環境の問題に関与する可能性が高い環境では、その効果が顕著です。

プログラマブルデータプレーンの未来

プログラマビリティへの需要は、もはや理論上のものではなく、現実のものとなり、さらに高まっています。データからは、カスタマイズと制御を重視する明確な傾向が見られます。組織は、スタックのあらゆるレイヤーで柔軟性とセキュリティを優先しています。

セキュリティを重視したユースケースへの関心が高まる中、PythonとJavaがその進展を牽引しており、プログラマブルデータプレーンは、最新のアプリケーションデリバリと保護を支える重要な基盤へと進化しています。

もはや問われているのは、組織がプログラマビリティを導入すべきかどうかではありません。どれだけ迅速に活用し、導入後にどのような価値を引き出せるかです。

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著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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