ITのモダナイゼーション:デジタルビジネスを支えるエンタープライズアーキテクチャ

F5エコシステム | 2022年4月21日


人類はこれまで、作業をより効率的に行い、人間の能力を拡張するために、常にテクノロジーを活用してきました。そろばんからAIに至るまで、テクノロジーは絶えず進化するツールであり、人類はそれを自らのために役立てる方法を学んできました。

効率化と規模の拡大にテクノロジーを活用することと同様に、デジタルトランスフォーメーションも実は新しいものではありません。その始まりは前世紀にさかのぼります。テクノロジーの進歩により、高度な数学的計算にとどまらない処理が可能なコンピューターが登場した時代です。それ以来、デジタルトランスフォーメーションは、明確に認識されてこなかったものの、テクノロジーの絶え間ない進化を広く推進する力となってきました。

DXは新しいものではない

1980年代半ば、エンタープライズアーキテクチャがフレームワークおよび正式な実践手法として採用されました。現在では多くのフレームワークが存在しますが、特に広く導入されているのは次の4つです。

  • Zachman Framework
  • FEAF(連邦エンタープライズアーキテクチャフレームワーク)
  • DoDAF(米国国防総省アーキテクチャフレームワーク)
  • TOGAF(The Open Group Architecture Framework)

各フレームワークは基本的に、アプリケーション、データ、テクノロジー、ビジネスという中核ドメイン全体で、ビジネスをテクノロジーによってどのように表現するかについて指針を示します。これらのフレームワークでは、エンティティ、関係、ポリシー、プラクティスを定義しており、企業がITスタックの基盤を構築し、発展させるうえで役立ってきました。

しかし、この20年間だけでも、これらのフレームワークの基盤となる多くの前提に、かつてない変化と課題がもたらされました。ユーザー、アプリケーション、データ、インフラストラクチャは、もはや固定的でも静的でもありません。これらはモバイル化、動的化し、多くの場合はリモートに存在します。テクノロジーの進化により、定型的な運用作業の負担を人からテクノロジーへ移せるようになり、実務の前提も変化しています。データの定義も、テレメトリ(運用データ)や、OTおよびIoTから得られる制御データを含むものへと拡大しています。

何よりも重要なのは、ビジネスそのものが変化したことです。データ入力からデジタル体験への移行を成し遂げた企業は今、デジタルビジネスへの転換という大きな変化を目前にしています。

これは大きな変化です。テクノロジーの活用は、もはやビジネスを「支援する」だけのものではありません。今や、ビジネスそのものではないにせよ、ビジネスの一部であることは明らかです。

しかし、企業が半世紀近くにわたって依存してきたエンタープライズアーキテクチャは、デジタルビジネスや、テクノロジーによる業務の強化を支援するようには設計されていません。従来のエンタープライズアーキテクチャフレームワークには、デジタルビジネスがデジタル経済で成功し、成長するために必要な要素、プラクティス、さらにはテクノロジードメインそのものが欠けています。

一から作り直したいという思いは強いものの、既存のエンタープライズアーキテクチャに蓄積された知見や教訓は、失うにはあまりにも価値が高く、また多大なコストがかかっています。そのため、私たちはゼロから始めるのではなく、TOGAFを進化・拡張する道を選びました。

これが、書籍『デジタルビジネスのためのエンタープライズアーキテクチャ』を執筆する原動力となりました。その目的は、今後半世紀、さらにはその先までデジタルビジネスを可能にするエンタープライズアーキテクチャを定義することです。

この取り組みの成果として、初期の章を先行公開版(未編集)としてご紹介できることをうれしく思います。デジタルビジネスのニーズに応えるために、エンタープライズアーキテクチャをどのようにモダナイズできるのか、ぜひ私たちとともに探求してください。



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著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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