金融サービス組織は、合併や提携、口座保有者とのエンゲージメントに関する要件などを背景に、マルチクラウド戦略の導入を先導しています。F5の最近の調査によると、実に71%の金融サービス組織が、特定のアプリケーションリソース要件に応じて特定のハイパースケーラーを選択するなど、多様なニーズに対応するためにマルチクラウドアプローチを採用しています。しかし、マルチクラウド環境を適切に管理する際に生じがちな複雑性の増大により、追加のリソースと対応が必要になる場合があります。さらに、分散環境にあるアプリケーションとAPIのポートフォリオ全体で一貫したセキュリティ態勢を構築し、維持することは、セキュリティチームにとってますます大きな課題となっています。金融サービス業界では、データ侵害にかかるコストが平均590万ドルに上るためです。
金融サービス機関は、進化するオープンファイナンスのエコシステムに伴うIT上の課題にも特有の複雑さを抱えています。Jack Henryの最近の調査によると、90%がデジタルバンキングプラットフォームにフィンテックを組み込む予定です。その結果、データ集約型のアグリゲーターを含め、セキュリティを確保し維持すべきサードパーティプロバイダーとのAPI接続が多数新たに生じます。マネーロンダリング対策(AML)および顧客確認(KYC)の基準が遵守されていない場合、規制当局から速やかに罰金を科される可能性があります。
パブリッククラウドプロバイダーが提供する標準のネットワーク機能とセキュリティ機能は、マルチクラウド環境の多くのユースケースに対応できます。しかし、看過できないギャップも存在します。たとえば、アプリケーションを複数の環境にまたがって拡張すると、最終的にポートフォリオのパフォーマンスをきめ細かく制御できなくなるほか、異なるクラウドプロバイダー間で一貫したセキュリティポリシーを管理できなくなる可能性があります。こうしたギャップを埋めるため、テクノロジーリーダーは新たなセキュアマルチクラウドネットワーキングサービス(SMNS)の導入を進めています。これは、マルチクラウド時代の金融サービスにおいて、革新的なソリューションを活用してアプリケーションデリバリとセキュリティの機能を大幅に強化する方法が、パラダイムシフトを迎えていることを示しています。
マルチクラウドネットワーキングの複雑さを軽減
組織が複数のクラウドにまたがってアプリケーションを拡張し、スケールさせるにつれて、複雑さが増し、可視性が低下し、最終的にはポートフォリオをきめ細かく制御できなくなるリスクがあります。実際、10組織中9組織が、ツール、トラブルシューティング手順、APIの複雑さなど、マルチクラウドに関する課題を報告しています。
SMNSは、マルチクラウド管理に伴う複雑さの軽減を目指す金融サービス業界のテクノロジーリーダーにとって、戦略的な選択肢となります。統合インターフェースを提供できるAPIファーストのインフラストラクチャソリューションなどにより管理をさらに簡素化することで、金融機関はプラットフォームに依存しないソリューションを通じて、アプリケーションスタック全体をよりきめ細かく制御できます。また、自動化によるポリシーガバナンスと、障害修復の迅速化も可能になります。
マルチクラウド時代に高度なセキュリティ簡素化が重要な理由
従来型のセキュリティソリューションは、マルチクラウド時代への対応に苦慮しています。Cybersecurity Insidersのレポートでは、78%が、従来型のセキュリティソリューションはクラウドでは機能しないと回答しています。つまり、金融サービスのセキュリティチームには、あらゆる環境で機能し、ユーザーエクスペリエンスの簡素化に役立つ俊敏なツールが必要です。これにより、分散アーキテクチャ全体にわたる脅威の阻止に注力できます。
SMNSを導入すると、分散環境全体のセキュリティポリシーをクラウドベースで一元的かつエンドツーエンドに管理できるため、セキュリティの実装が簡素化されます。たとえば、特定の誤検知に対する除外設定が必要な場合、中央コンソールから簡単に展開できます。また、APIレピュテーションフィルターを一貫して使用するための作業も効率化できます。これは、アグリゲーターのAPIエンドポイントをより適切に管理するうえで特に役立ちます。こうした例をはじめとするさまざまな機能により、金融サービスにおけるアプリケーションとAPIのセキュリティに、よりきめ細かく注力できるようになり、組織は一貫性と俊敏性を高めながらマルチクラウドのセキュリティ課題に対応できます。
あらゆる環境でアプリケーションを保護する鍵となる多層防御セキュリティアーキテクチャ
マルチクラウド戦略が一般化する中、あらゆる環境で防御を強化し、包括的かつ一貫した保護を実現するには、階層型セキュリティアーキテクチャの導入が不可欠です。現在、垂直型セキュリティアーキテクチャには、アプリケーションレイヤー7 DDoS対策、アイデンティティ管理、WebアプリケーションおよびAPI保護など、相互補完的な制御が必要です。これらは多層防御の重要な要素であり、現代の企業にとって必須要件となりつつあります。さらに、前述のとおり、階層型セキュリティアーキテクチャでは、すべてのIT環境とスタックに一貫したセキュリティポリシーを適用し、Log4j2の脆弱性のような重大な脅威を適切に特定して修復できるようにすることが重要です。
拡大するオープンファイナンスのエコシステムに伴い複雑さが増す金融サービス業界では、これは特に重要です。たとえば、組み込み型金融やBanking as a Serviceのイノベーションによって業界の状況は変化しており、金融機関の約50%が今後2年間で自社の金融サービスを第三者のサービスに組み込むことを計画しています。
適切なSMNSを導入することで、金融サービス組織は、可視性の向上とセキュリティ運用の効率化を通じて、分散環境やオープンファイナンスエコシステムの複雑さに、より確信を持って対応できるようになり、機密性の高いPIIや金融データの損失リスクを軽減できます。
クラウド全体の制御を強化するエンドツーエンドの可視性
マルチクラウドネットワーク向けに設計された堅牢なセキュリティ要素を導入する大きな利点の1つは、エンドツーエンドの可視性を確保しやすくなることです。前述のとおり、この可視性は、分散クラウド環境全体でアプリケーションとデータを管理下に置くことを目指す金融サービス組織にとって不可欠です。
SMNSはインフラストラクチャ全体に関するインサイトを提供できるため、プロアクティブな監視、AIを活用した脅威検知とリスクスコアリング、自動保護が可能になります。さらに、このエンドツーエンドの可視性により、アプリケーションのパフォーマンスとセキュリティが一貫して導入、運用されているかを1か所で確認できます。さまざまな環境にある多様なアプリケーションについて、複数のツールを使ってセキュリティとパフォーマンスの分析結果を延々と確認する必要はなくなります。
金融サービス組織がマルチクラウド戦略の複雑さに対応するうえで、SMNSの導入は戦略上不可欠です。すべての分散環境とシームレスに統合し、強固なセキュリティ要素を組み込むことで、手作業に起因する可能性のある既存のセキュリティギャップを解消できるだけでなく、運用効率も向上できます。金融サービスの未来には、セキュリティを重視した革新的なソリューションの採用が欠かせません。セキュアなマルチクラウドネットワーキングは、進化を続ける金融サービスのデジタル環境を変革する原動力となります。
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