クラウド。今や、どこへ行ってもクラウドに関するものを目にします。8歳になる私の息子でさえ、クラウドのことはよく知っています。iPodの空き容量がなくなったときに、データを全部保存しておく場所だそうです。
しかし、アプリや広告、マーケティングで「クラウド」という言葉が不適切に使われることがある一方で、今やクラウドはあらゆる組織にとって現実のものとなっています。さらに複雑なのは、オンプレミスもなくならないという現実が同時に存在することです。こうして、F5は2016年版『State of Application Delivery』レポートで「ハイブリッドが新たな標準」という結論に至りました。
ここで、「ハイブリッド」の定義について議論することもできます。複数のクラウドプロバイダーにまたがるアプリケーションアーキテクチャを指しているわけではない場合、「マルチクラウド」と呼ぶ方が適切なのか、あるいは「ハイブリッド」という言葉に、6年ほど前の「クラウド」以上の意味があるのか、といった議論です。しかし、呼び方が何であれ、今日の組織が、ビジネスの生産性と収益目標を支えるアプリケーションを提供するために、IaaS、SaaS、従来型のオンプレミス環境をバランスよく組み合わせて利用していることは明らかです。実際、このような混在型のハイブリッド環境を計画していないと回答したのはわずか19%で、67%が自社を「クラウドファースト」の組織だと回答しています。

これは単なる絵空事ではありません。2015年の組織の支出を詳しく調べたところ、プライベートクラウドとSaaSはいずれも上位5項目に入り、中でもプライベートクラウドが首位でした。これに並んだのはモバイルだけで、38%の組織が限られた予算の一部をこのテクノロジーに投じていました。
また、このように多様な環境にアプリを分散させると、特にセキュリティに関する課題が生じます。驚くべきことに、回答者の22%は、ハイブリッドクラウドに課題はないと答えています。もしその22%に該当するなら、包括的な分析(29%)、IDおよびアクセス管理(29%)、データセキュリティ(17%)を課題として挙げた多くの組織は、その秘訣をぜひ知りたいことでしょう。
それでも、多くの組織が直面しているハイブリッド環境の課題への対応は進んでいるようです。最も急速に導入が拡大しているアプリケーションサービス、つまり今後12か月以内に導入が予定されているサービスは、いずれもハイブリッド環境やクラウド環境の実装に関連するか、役立つものです。

DNSSEC(26%)と並んで首位となったのは、IDフェデレーションサービス(26%)でした。これらのアプリケーションサービスは、クラウドに展開されたアプリケーション、特にSaaSアプリケーションへのアクセスを管理する必要がある組織にとって、非常に有用です。大きな利点は、ほとんどのIDフェデレーションサービスが、オンプレミス(従来型およびクラウド)とオフプレミス(クラウドおよびSaaS)の両方のアプリケーションに対応できることです。これにより、回答者がハイブリッドクラウドに関して挙げた、IDとアクセスを包括的に管理するという課題に的確に対処できます。同様に、24%がSSOサービスの導入を予定していることから、オンプレミスとクラウドの両方で、従業員が日々アクセスするアプリケーションが増え続けるなか、組織(および消費者)がID管理を確実に掌握したいと考えていることがうかがえます。
しかし、組織を覆うクラウドの霧の影響を受けるのは、セキュリティとアプリサービスだけではありません。SDNとDevOpsの重要性も、組織のクラウド戦略に対する考え方、そしてパブリッククラウドとプライベートクラウドのどちらを選ぶかに左右されるようです。
プライベートクラウドを戦略的に重要と捉える層では、DevOpsも同様に高く評価する傾向が、パブリッククラウドの場合よりはるかに強いことがわかりました。一見すると、これはパブリッククラウドとDevOpsを結び付けようとする市場の動きに反しているように思えます。しかし、プライベートクラウドはゼロから構築し、レイヤー2からレイヤー7までのあらゆる要素を自動化する必要があることを考えれば、この関係は当初思われるほど意外なものではありません。DevOpsは、プライベートクラウドのような「サービス」指向の環境を支えるために必要な、無駄のない効率的な運用モデルを組織が構築し、維持するための有力な手段の1つです。
いずれにせよ、今日のアプリは多種多様なクラウド環境や拠点に、またそれらを通じて展開されています。IT部門がアプリと、その配信およびセキュリティ確保を担うサービスを管理するために得られる可視性と制御の度合いも環境や拠点ごとに異なるため、アプリケーションデリバリはまさにクラウド化が進んでいます。
詳細については、「2016 State of Application Delivery」レポートの全文をご覧ください。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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