偏ったデータ収集はデータの欠落を招き、その結果、重要なインサイトを見逃すことになります。
結果がまとまりました。F5では毎年、市場調査を実施し、テクノロジーやビジネスに関する幅広いトレンドとトピックについて尋ねています。そして毎年、回答の一部に驚かされます。一方、インサイトの不足が広く見られるという回答は、予想どおりでした。1,400人を超える回答者のうち、ほぼ全員にあたる98%が、必要なインサイトを得られていないと回答しています。不足しているインサイトの内容は変わっていません。パフォーマンス低下の根本原因、インシデントの根本原因、攻撃の可能性を示す兆候です。パフォーマンス。可用性。セキュリティ。デジタルビジネスを運営するIT部門にとっての「3大」懸念事項が、引き続きより多くのデータを必要とする要因となっています。
こうしたインサイトの欠如がもたらす影響は深刻です。もはや、パフォーマンス、可用性、セキュリティに関するSLAの達成責任を負うIT担当者だけの問題ではありません。システム停止や不具合、セキュリティインシデントは、デジタルビジネスに現実的かつ深刻な悪影響を及ぼします。
影響の中には明らかなものもあります。評判や収益の低下、生産性の低下、パートナーとの関係悪化などです。一方、業務部門と事業部門を横断してデータを分析していれば見いだせた可能性のある機会を逃すなど、明確には見えにくい影響もあります。
しかし、インサイトが不足していると認識するだけでは、問題の半分しか解決しません。今や、これは誰にとっても驚くことではありません。デジタルビジネスの成長に伴い、需要を支えるために必要なシステム、サービス、環境は大規模化し、拡大していきます。複数のクラウド、そして今ではエッジにまで多数のコンポーネントが分散しているため、不足しているインサイトを見つけ出すうえで、データの欠落が最も一般的な課題として挙げられたのも不思議ではありません。
これは、データバイアスがもたらす代償の一端です。つまり、特定の見解に偏ったデータ収集です。
「エージェントの導入と管理にかかるコストによって、データを収集できるシステムが限られ、データバイアスが生じていました。特定のアプリケーションやシステムを監視する価値があるかどうかについて、経験に基づくか否かを問わず、主観的な判断が導入の意思決定を左右することが少なくありませんでした」— インサイトの欠落の多くはデータバイアスが原因

データ欠損という課題を克服した組織は、データ分析によって得られるインサイトを活用しやすい立場にあります。こうした組織が、ユーザー当たりの収益増加などの具体的なメリットにつながるタイムリーなビジネスインサイトを発見する可能性は、12倍に上ります。
また、ボットを正しく識別できる可能性も高くなるため、デジタルチャネルを悪用するボットの被害に遭いにくくなり、事業そのものに深刻な損害が及ぶリスクを軽減できます。
現時点で定量化できていないのは、データの欠落によって生じる「誤った」インサイトがビジネスに及ぼす影響です。正規ユーザーをボットと誤分類すること、つまり誤検知が問題であることは明らかです。収益をもたらす可能性のあるユーザーをブロックしてしまうことを避けるため、組織が積極的なセキュリティ対策を見送るケースも少なくありません。Aite Groupの推定では、誤検知による損失は、予測される不正行為による損失64億ドルをはるかに上回るとされています。
その影響は収益にとどまらず、顧客獲得コストや顧客生涯価値など、ほかのビジネス成果にも及びます。今後、ビジネスインサイトに関して同様の「偽陽性」が生じる可能性も否定できません。
だからこそ、インサイトに基づいてデジタルビジネスの運営を始める前に、データとオブザーバビリティの戦略を策定することが非常に重要です。
デジタルが当たり前となり、あらゆる企業がデジタルビジネスを展開する世界は、目前に迫っています。デジタルビジネスはデータによって成り立つため、将来の成功にはデータとオブザーバビリティの戦略策定が不可欠です。戦略がなければ、データから得たインサイト、ひいてはそれに基づく意思決定を誤る可能性が十分にあります。
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著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
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