挿入ポイントとしてのアプリケーションサーバー

F5エコシステム | 2020年4月13日

以前の記事では、「挿入ポイント」と呼ぶ概念を用いて、変化するアプリケーションアーキテクチャにアプリケーションサービスを追加するという考え方を取り上げました。これまでの記事をご覧になっていない方のために説明すると、挿入ポイントとは、コードから顧客データまでの経路上にある、アーキテクチャ上独立した場所です。開発の範囲外となることが多い機能や、運用効率を高める機能を追加するのに適しています。

充実した一連の機能により、今日のビジネス活動を支えるアプリケーションを追加または強化できます。

挿入ポイントには、クライアント、インフラストラクチャ、アプリ自体があります。運用効率とコスト効率のバランスを取るうえで、各ポイントにはそれぞれ長所と短所があります。たとえば、ネットワーク中心のDDoSアプリサービスをクライアントやアプリに挿入しても、運用面でもコスト面でも効率的ではない可能性があります。これは、どちらの挿入ポイントも、インフラストラクチャを選択した場合に利用できるハードウェアアクセラレーション機能を使用できず、正確な判断に必要な可視性も得られないためです。

そこで求められるのは、挿入ポイントにおいて運用面とコスト面の両方で効率的なアプリサービスです。ここでは、アプリサーバー(プラットフォーム)自体に焦点を当てます。

挿入ポイントとしてのアプリプラットフォーム

一見すると、この挿入ポイントは不自然な選択に思えるかもしれません。アプリサーバーがホストして配信するのはアプリであり、アプリサービスではありません。しかし、現在のNGINXやその他のアプリサーバーの役割を考えると、多くの場合、インフラストラクチャとサーバーの両方の役割を同時に担っていることがわかります。たとえば、一部のアプリサーバーはSSL終端ポイントとして機能できますし、実際にその役割を果たしています。SSL終端はアプリサービスの1つであり、多くの場合、SSLオフロード(ハードウェアアクセラレーション)と組み合わせて使用されます。Webアプリファイアウォールサービスも、多くの場合、プラグインを介してアプリサーバーと連携します。

アプリケーションサーバーを挿入ポイントとして使用することは、目新しいものでも、なじみのないものでもありません。F5の「2020年版アプリケーションサービスの現状」調査では、アプリケーションサービスを導入するための選択肢として、この方法について質問しました。その結果、この挿入ポイントに関心があることが分かりました。回答者の約6%は、アプリケーションサービスに「プラグイン」を使用したいと回答しています。また、9%は「サービスとして」の利用を希望しています。この方式では、呼び出し用の付随コードを挿入または組み込む必要があります。少数ながら4%は、ライブラリを使用してアプリケーションサービスを組み込みたいと回答しています。この最後の選択肢は、サーバーレス(Function as a Service)アプリケーションに機能を追加するためによく使用されています。

多くの場合、アプリサーバーにアプリサービスをデプロイすることは、運用面で合理的です。こうしたサービスは単一のアプリに対応するよう構成されることが多いため、同じチームでパッケージ化してデプロイできます。アプリサーバーに関する専門知識があれば、より確実かつ容易にエコシステムやデプロイパイプラインへ統合できます。

場合によっては、アプリとアプリサービスを単一のアプリサーバーの同じインスタンスにまとめてデプロイすることが合理的です。たとえば、アプリ固有のポリシーによるアプリ保護を組み込み、リクエストとレスポンスの処理手順の一部として実行できます。この機能をサーバー内から呼び出すことには合理性があり、検査をローカルで実行すれば、環境外でホストされているサービスへの余分な通信やそこでの処理をなくすことで、パフォーマンスを向上できる可能性があります。これにより、運用面とコスト面の両方で効率が向上する可能性があります。特に、サービス料金が時間単位または呼び出し単位で発生する場合に効果的です。

アプリサーバーをスタンドアロンのアプリサービスのホストとして使用する場合でも、アプリとアプリサービスの両方のホストとして使用する場合でも、適切なアプリサービスを組み込む場所として、アプリサーバーが有力な選択肢であることは確かです。

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著者について

Lori Mac Vittie
Lori Mac Vittie特別技術者兼チーフエバンジェリスト | F5

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。

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