市場の可能性
Gartner, Inc.によると、2020年までに2億5,000万台のコネクテッドカーが公道を走行するようになり、新たな車載サービスや自動運転機能が実現すると予測されています。コネクテッドカーはモノのインターネット(IoT)の主要な構成要素となり、コネクテッド社会における5Gの重要性を示すことになります。
コネクテッドカーはすでに市場に投入され、自動車メーカーやモバイルネットワーク事業者に多大な収益をもたらしています。コネクテッドカー市場の収益は2016年に80億1,100万米ドルに達し、2016~2020年の年平均成長率(CAGR)は27.57%になると予測されています。特に注目すべきは、AT&Tが最近報告した2016年第2四半期末時点で同社のネットワークに接続されているコネクテッドカーが900万台を超えたことです。
車載サービスの利用拡大と新たなモビリティの概念により、自動運転、インフォテインメント、テレマティクス、モビリティサービスといった重要な機能分野全体で、新たなビジネスモデルが生まれ、さまざまな変化がもたらされます。
コネクテッドカーサービス
モバイルサービス/インフォテインメント:新たな車載サービスやコンテンツ利用の拡大により、無線帯域幅とモバイルネットワーク容量の需要が大幅に高まります。乗員がHD映画の視聴、オンラインゲーム、社内システムへのアクセス、ソーシャルクラウドでの交流、ビデオ会議を行うには、高品質な接続が必要です。こうした用途では、自宅やオフィスのネットワークと同等のユーザー体験が求められます。エンドツーエンドの遅延と可用性を考慮しながら、許容可能な体感品質(QoE)を提供することが課題となります。
テレマティクス/自動運転:テレマティクスには、ナビゲーションのほか、道路の安全、交通渋滞、セキュリティに関する情報の通信が含まれます。主な目的は、車両の安全性向上、ドライバーのミスの低減、燃費の改善、衝突事故の自動通知、ボタン1つで利用できるロードサービス、事故を迂回するルートの案内、緊急支援への自動発信です。事故を回避し、乗員の安全を確保するには、検知と被害軽減が極めて重要になります。衝突前検知により、車両は差し迫った衝突を検知して関連データを交換できるため、車両とドライバーは衝突の影響を軽減するための対策を講じることができます。コネクテッドカーまたは自動運転車として走行する際の安全性と信頼性を確保するには、車両間および車両とインフラ間の低遅延通信が必要です。
モバイル通信事業者のサービス提供要件 — スケーラビリティ、パフォーマンス、セキュリティ
5Gは、コネクテッドカーにおける車車間通信および路車間通信の高速化と低遅延化を支える無線技術の実現基盤になると見込まれています。車載サービスと自動運転機能は、安全性の向上、衝突事故の減少、渋滞の緩和、燃費の改善、運転者と同乗者の生産性向上など、ユーザーにさまざまなメリットをもたらす可能性があります。
セキュリティとプライバシーの課題
自動車メーカー、エコシステムパートナー、モバイルネットワーク事業者が収益性の高いビジネスモデルを実現するために、安全で統合されたプラットフォームを構築することは、非常に大きな課題です。また、安全性とセキュリティを確保したアプリを提供するには、日常的な車両運用に対応するための緊密なパートナーシップも必要です。
予期せぬ事態やシステム侵害が発生し、乗員のプライバシーと安全が脅かされれば、深刻な結果を招きかねません。ハッカーは、個人データやシステム情報にアクセスできるだけでなく、コネクテッドカーを乗っ取り、車両を突然動かすことも可能です。分散型サービス拒否(DDoS)攻撃や悪意のある高度で持続的な脅威(APT)は、事故を引き起こし、人命を脅かすおそれがあります。

シームレスなコネクテッド体験の提供によって市場の可能性を最大限に引き出すために、モバイル通信事業者は「ソリューションインテグレーター」となり、自動車メーカーやエコシステムパートナーとともに安全で統合されたプラットフォームを構築することで、「コネクテッドカーサービス」を提供できます。
高いパフォーマンスとプログラマビリティ
モバイル通信事業者は、高いパフォーマンスと可用性を維持しながら拡張できるソリューションに投資する必要があります。これには、数十億の同時接続に対応でき、毎秒数百万件の新規接続をサポートするSW/HWプラットフォームの導入が含まれます。これらのプラットフォームには、高度化する新たな脅威に対処するために必要なセキュリティ、拡張性、パフォーマンスを備え、アプリケーションを可視化しながら、車載センサー、DNSインフラストラクチャ、コアネットワークリソース、L7サービスに対する潜在的な攻撃を緩和することが求められます。
車の乗員は、自宅やオフィスで利用するサービスと同等のエクスペリエンス品質、プライバシー、安全性を期待するでしょう。そのため、モバイル通信事業者は、アプリケーションに応じてトラフィックを振り分け、優先順位を付ける必要もあります。たとえば、E911通話は、メールのダウンロードやネットワーク上で送信される車両テレメトリデータよりも優先する必要があります。
コネクテッドカーのエコシステムに新たな収益源となるサービスを導入するうえで、サービスの俊敏性が鍵となります。俊敏性を確保するには、プロビジョニングとサービスアップグレードを簡素化し、自動化できることが不可欠です。プログラマブルなインターフェースにより、モバイル通信事業者は新しいサービスを開発してニーズに合わせて調整できるほか、仮想ネットワーク機能(VNF)を実装し、コネクテッドカーの5Gビジョンへシームレスに移行できます。プログラマブルなオープンAPIと高度なオーケストレーション機能を備えた、包括的で相互運用可能なNFV/SDNエコシステムにより、モバイル通信事業者は、より柔軟で俊敏なアーキテクチャを活用してネットワークを拡張できます。その結果、コネクテッドカーサービスのエコシステムにおいて、サービスを迅速に提供し、コストを削減できる可能性があります。

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