デジタルトランスフォーメーションは変革を促す原動力となり、IT全体の自動化とオーケストレーションを推進し、組織がパブリッククラウドからアプリを提供するという決断を後押しします。
実際、デジタルトランスフォーメーションはIT全体に広く浸透しており、F5の「State of Application Delivery 2018」のデータでは、セキュリティを含むほぼすべての側面にその影響が表れていました。
その影響は、クラウドに対する信頼との関係や、アプリがどこにあっても保護するアプリケーションサービスの導入を推進する動きに目を向けると、明確に見えてきます。
ただし、公平を期すために付け加えると、この調査を実施してきた4年間を通じて、全般的に信頼度は低下傾向にあります。

2015年には、半数近くの組織(49%)が、アプリケーション層への攻撃に耐えられる自組織の能力に高い自信を持っていました。
今年、その割合は41%に低下しました。一方、信頼度が低いと回答した人の割合は、2015年にはわずか8%でしたが、2018年には2倍を超える17%に増加しました。
「自信があるともないとも言えない」と回答した層の割合は、ほぼ横ばいでした。
この統計をさらに憂慮すべきものにしているのは、パブリッククラウドを考慮した場合の信頼度の内訳です。

アプリの保護に関するセキュリティ機能への信頼度が高い回答者の割合は、オンプレミス(59%)とパブリッククラウド(37%)で大きく異なります。信頼度が低い回答者の割合にも同様の傾向が見られ、パブリッククラウド(25%)よりもオンプレミス(14%)の方が低くなっています。
この差をクラウドのせいにするのは簡単ですが、基本的に、ほとんどのパブリッククラウド環境はアプリケーションセキュリティにほとんど、あるいはまったく影響を与えません。確かに、インフラストラクチャとネットワークのセキュリティは、アプリケーションの侵害につながり得る要因です。しかし、ほとんどの場合、場所にかかわらず、アプリケーションを保護する責任はその所有者にあります。そこで、両方の環境でアプリケーションを保護、防御するために組織が導入しているテクノロジーやアプリケーションサービスなど、ほかの要因を調査しました。違いを生んでいたのは場所ではなく、保護のアプローチだったのかもしれません。
調査の結果、大多数の組織がアプリケーションの保護と防御に、ネットワークファイアウォール(83%)、アプリケーションアクセス制御(75%)、Webアプリケーションファイアウォール(57%)という3種類のアプリケーションサービスを使用していることがわかりました。また、4組織に1組織をわずかに上回る26%が、ユーザー行動分析も使用しています。

ネットワークの監視、アクセス制御、悪意のあるコンテンツのフィルタリングや除去など、さまざまなアプリケーションサービスがバランスよく含まれています。そのため、こうしたサービスの利用状況(利用していないことも含む)が、信頼度の低下に影響していた可能性があります。
調査の結果、攻撃からアプリケーションを保護するために利用しているアプリケーションサービスは、攻撃に耐えられるという確信に確かにプラスの影響を与えていることがわかりました。
上位3つのサービスでは、導入した回答者の攻撃に耐えられるという確信が大幅に高まりました。次に、同じサービスの導入がもたらす影響を、パブリッククラウドとオンプレミスで比較しました。

この比較から、2つの点が際立っています。アプリケーションサービスを利用している組織は、その有用な保護機能を利用していない組織よりも、明らかにはるかに高い自信を持っています。
2つ目は、オンプレミスとパブリッククラウドの間で、信頼度に一貫して約3%のわずかな差が見られることです。しかし、この差だけでは、異なる環境でアプリを保護することに対する全般的な信頼度の大きな隔たりを説明できません。したがって、アプリケーション層への攻撃に耐えられるという信頼度の低下には、環境(クラウド)が一因として影響していると結論付けられます。
その理由は、セキュリティソリューションの複雑さが、2018年の主要なセキュリティ課題として再浮上したことにあるのかもしれません。この課題を主要な課題として挙げた回答者は2017年にはわずか30%で、上位3項目から外れるなど減少傾向にありましたが、今年は34%に増え、再び上位に入りました。クラウドには多種多様な外部サービスやAPIが存在するため、必然的に複雑さが増します。クラウドは従来型の環境ではなく、新しいアーキテクチャやサービスへの対応も複雑さの一因となります。さらに、クラウド上のアプリケーションサービスが、オンプレミスのサービスと同等の保護を提供できるとは限らないという現実もあります。
たとえば、クラウドプロバイダーが提供する基本的なWebアプリケーションファイアウォールサービスでは、オンプレミスのWebアプリケーションファイアウォールサービスと同等の堅牢な保護が得られない可能性があります。この機能の違いが、信頼度に影響している可能性があります。オンプレミスとパブリッククラウドで利用されているアプリケーションサービスが同じかどうかまでは調査していないため、機能の違いが信頼度低下の原因であると断定することはできませんが、考えられる複数の要因の1つと思われます。
セキュリティは、保護対象のアプリケーションとともに確実にクラウドへ移行しつつありますが、その移行に対する信頼は高まっていません。
以上で、「State of Application Delivery 2018」に関する最初のシリーズを締めくくります。デジタルトランスフォーメーション、マルチクラウド、アプリケーションサービス、セキュリティ、自動化、そして進化を続けるNetOpsについてさらに詳しく知りたい方は、「2018 State of Application Delivery」レポートをダウンロードし、Twitterで@f5networksやハッシュタグ#soad18をフォローしてください。
著者について

Lori MacVittieは、F5のOffice of the CTOに所属するDistinguished Engineer兼Chief Evangelistであり、アプリケーションデリバリ、自動化戦略、インフラストラクチャに関する深い専門知識を有しています。AIエージェントのガードレール策定、脆弱なマルチクラウドアーキテクチャの分析、スケーラブルなシステムの限界の検証など、複雑な事柄を明快にすることで知られています。アプリケーション開発、ITアーキテクチャ、ネットワークおよびシステム運用の分野で、30年以上にわたる業界経験を有しています。F5入社前は、受賞歴のあるテクノロジー編集者として活躍していました。 MacVittieはコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、セキュリティ、クラウド、エンタープライズアーキテクチャにわたる分野で多数の著作を発表しています。また、テーブルトークゲームとビデオゲームをこよなく愛し、チーズについては遠慮なく強いこだわりを語ります。
Lori Mac Vittieのその他のブログ記事関連するブログ記事

F5 Application Study Tool:OpenTelemetryによるF5 BIG-IP環境の監視
F5の新しいオープンソースツールは、BIG-IP環境を詳細に可視化し、データを追跡するとともに、強力でカスタマイズ可能なインサイトを得るための基盤を提供します。
F5 BIG-IPでAI防御を実現
F5 BIG-IP Advanced WAF、BIG-IP APM、BIG-IP SSL Orchestratorが、生成AIアプリ向けに包括的なセキュリティソリューションを提供する仕組みをご覧ください。
F5 Advanced WAFによるGraphQL APIの保護
ここ数年、多くの組織がデジタルトランスフォーメーションを進めており、COVID-19のパンデミックによってその動きは加速しています。
アプリケーションサービスの現状 通信業界版:リーダーとしての台頭
通信ネットワークが進化し、さまざまな業界の幅広いユースケースに対応するなか、通信業界の回答者がテクノロジーリーダーとしての存在感を高めていることがわかります。
デジタルトランスフォーメーションは、単なるペーパーレス化ではない
デジタルトランスフォーメーションは、単なるペーパーレス化ではありません。真のモダナイゼーションにアプリケーションアーキテクチャとセキュリティの再構築が必要な理由を、F5ブログでご覧ください。
やめましょう。もう本当にやめましょう。HTTPSはHTTPより高速ではありません。
もうやめましょう。HTTPSはHTTPより高速ではありません。プロトコルのパフォーマンスに関する微妙な違いと、暗号化トラフィックを適切に最適化する方法については、F5ブログをご覧ください。